OCEANS

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③バックサテンギャバ

オキシジェンタブやフラップポケット、左袖のジッパー付きポケットなど、フライトジャケットのディテールを採用。袖口のリブはあえて長めに取っており、たるませても、折ってもアクセントになる。20万9000円/カンタータ(カルネ 03-6407-1847)
最後は「バックサテンギャバ」。おそらくあまり耳馴染みのない生地名だと思います。
ベイカーパンツなどによく使われる、バックサテン生地の裏表どちらを表にしても成立するよう二重織にして、裏面をギャバジンにしたもの。それを「バックサテンギャバ」と呼びます。
今回はウール100%で作りました。高密度で織っているので生地に弾力があってとても丈夫です。表面にあたるウール特有の“スケール”という鱗(ちくちくするアレです)は、薬品で省きスベスベで滑らかな質感に仕上げています。
「バックサテンギャバ」。
これだけでもかなりのこだわりですが、実は裏面に付けたキルティングライナーもすごいんです。ミリタリーでよく使われる、ひょうたんが連なったように見える「ミリタリーキルト」を採用。ステッチの糸も通常使用される番手より太くしています。
本来ステッチを入れる理由としては、中綿が偏るのを防ぐためなのですが、日本を代表する高級車のシートを作っている工場にお願いすることで、ほかに類を見ない運針数で美しく丁寧に仕上げることができました。
まったく業界が違う工場ということもあり、上手くできるか不安で最初は難色を示していましたが、面白そうだしやってみよう! ということで実現に至りました。こんなストーリーも知ったうえで着ていただきたい洋服です。
 
清水健吾=写真 梶 雄太、来田拓也、星 光彦、野上翔太=スタイリング 増山直樹、早渕智之、長谷川茂雄、いくら直幸、髙村将司、大西陽子、森上 洋、中田 潤、今野 壘、オオサワ系、大木武康=文


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