「Tシャツは男の快楽だ」特集 Vol.26
2021.06.15
FASHION

話題を集める究極の白T「ブローダー」が一枚に込めた、緻密な設計と繊細な技術

何の予備知識もなく見れば、シンプルな白い無地Tシャツ。この普遍的なアイテムを特別な一枚だと知ってもらうには、とにかく着てもらうのがベスト。

そう言い切れるほど、視覚だけでは伝わりにくい緻密な設計と繊細な技術が「ブローダー」のTシャツには詰まっているのだ。

 

「ブロードシャツのような美しさと汎用性を目指して」

洗練された大人の印象を醸し出す“ブロードシャツ”のような「ブローダー」の白Tシャツのヒミツ
9350円/ブローダー(ブライベルガー エンタープライズ 03-6452-3649)

“ワードローブ”と“ブロードシャツ”。ふたつの意味が込められた、ブローダーというブランドのTシャツ。

デビューは昨年で、ディレクションを手掛ける永原太蔵さんが前職を辞め、独立するタイミングでのこと。それまでの会社員時代にお世話になった人への贈答品として白Tシャツを製作したのがきっかけだった。

ブライベルガー エンタープライズ代表取締役 永原太蔵さん Age 45●1975年、東京都生まれ、神奈川県育ち。大学を卒業後、大手セレクトショップにてバイヤーを歴任。2020年にブライベルガー エンタープライズを設立し、さまざまなブランドのディレクションを手掛ける。大阪学院大学内にて運営するセレクトショップ「スタンドセブン」の仕掛け人としても話題に。

「お礼の品ですから、ほかでは手に入らない特別なものを作りたかったんです。目指したのは、ブロードシャツ。シーンを選ばず着られて、アラフォー男性の体型もしっかりカバーできる、そんなTシャツです。

本当は辞めるときに渡したかったんですが、完成は退職して半年経ってから(笑)。でもこれが結構評判良く、製品化したら? なんて声もチラホラ。そんな経緯から、動きが本格化しました」。

[Point3 シルエット]フロントは身体のラインを拾わないスクエア形、後ろ姿は立体的でセクシーな印象のシルエットに。4サイズ展開だが、サイズアップによる着丈の変化を最小限に抑え、身幅の差でシルエットを調整しているのも特徴。
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最も大切にしたのは、料理でいう出汁や下味にあたるところ。服でいうなればシルエットだ。

「フロントのイメージは、英国スーツ。誰がどう着てもきちんと見えるよう、スクエアシルエットで体型をカバーできる設計に。

肩や背中は、イタリアのスーツのようなイメージ。男は背中で語るじゃないですが、より立体的で美しく見えるように仕立てています」。

[Point1 ネック]ボディに対してやや前めに取り付け、肩の“乗りの良さ”を獲得。それにより背面のボディラインを美しく見せられるという。また、着込んでもヘタれにくいストレッチリブを採用。左の試作品では、微妙なヨレが出ていたのを修正した。

[Point2 袖丈]一般的な半袖Tシャツに比べて、やや袖丈が長めの設計に。「いいホテルやレストランにも、これ一枚で行ってもらいたい」(永原さん)。

そんな思いが詰まっており、二の腕回りの肌の露出を控える絶妙なバランスに仕上げた。

半袖と同様、白のみでロンTも展開。1万2100円/ブローダー(ブライベルガー エンタープライズ 03-6452-3649)

それを実現するために、特にこだわったのが首回りの作り。やや前傾位置にセットすることで、背中の立体感が段違いに美しくなった。

またネックの印象はドレスシャツの襟と同様に、佇まいの美しさを左右する部分。ストレッチリブの採用と縫製の技術で、洗濯を繰り返してもヘタれず常に形をキープできる仕様に仕上げた。

左と右の違いは袖のサイジングにあり。完成形は、ボディに比べサイズアップした袖に変更。試作品で作った一般的なものよりもリラックス感があり、バランスのいい見た目に。スウェットシャツとTシャツの中間的なポジションを狙った。

一方、Tシャツ作りの重要なファクターである生地については、「あまりに柔らかいと余計なドレープが出てしまい、せっかくのパターンが活きない。また目の詰まったヘビーデューティな生地では、後ろ姿の美しさが表現できない。

最終的にヘビーオンスの綿単糸を甘めに編み立てた生地を採用し、ちょうどいい見え方を表現することができました」と語る。

こうして完成した永原さん渾身の一枚は、先に手にした方々が製品化をすすめるのも納得の完成度。大人にとってエッセンシャルな服であり、愛したくなる傑作だ。

 

清水健吾=写真(人物) Taichi=写真(静物) 来田拓也、星 光彦、野上翔太=スタイリング 加瀬友重、早渕智之、大木武康=文

# ブローダー# 無地Tシャツ
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