「もともとは個人的にやっていた密かなプロジェクトだった。なんとなく語呂がいいからWHRと名付けたんだ」。
そうブランドの始まりを振り返るのは「ウエスタン ハイドロ ダイナミック リサーチ」ディレクターのパット・タワジーだ。
「パンカーパット」のニックネームで知られるプロサーファーだった過去を持つ彼の人生は、首尾一貫して海にいる。
優秀なサーファーが陸の上でもクリエイティブな才能を発揮することは珍しくない。パットもそんなひとりだ。
「やがて尊敬するジャーナリスト、クレイグ・ステイシックⅢがWHRに意味を持たせようと、“ウエスタン ハイドロダイナミック リサーチ”と名付けてくれた。
そしてある日キャップを作って被っていたら、トム・サックスに『そのキャップはなんだ!? 俺も欲しい』と言われ、さらにWHRをブランドとして発足するべきだと助言を受けたのさ」。
現代アートの旗手、トム・サックスとは、彼のサーフィンの映像作品をパットが手伝ったことから深い付き合いに。そうして海がつないでくれた仲間に導かれ、ブランドは展開していった。
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