「自宅を楽しい場所No.1計画」特集 Vol.49
2021.02.27
FASHION

不朽の名作「フォース10」55周年。フレッドが掲げる精神 “Live the Joy” とは

ヨットの連結具とロープをモチーフにした「フォース10」に代表される、革新的なジュエリーを作り出してきたフランスのメゾン。それがフレッドだ。

「2021年はさらなる革新に挑みたい」と、CEO自ら語ってくれた。

CEO チャールズ・レオン 氏
香港生まれ。香港中文大学を卒業後、カルティエで10年にわたり中国でのリテールビジネス開発を担当する。2006年にショーメに入社し、アジア太平洋地域の基盤を構築。

その後パリ本社のバイスプレジデントとして、ワールドワイドのセールスをマネージメントする。’18年、フレッドのCEOに就任。趣味のひとつが旅行。これまで80以上の国と地域を巡っている。

Brand Profile
1936年、フレッド・サミュエルによりパリで創業。当時珍しかったパールやカラーストーンを取り入れたジュエリーが、各界の著名人を魅了した。

現在は「フォース10」「シャンス アンフィニ」に代表されるモダンでプレシャスなコレクションを展開し、フランス屈指のジュエラーに。15以上の国や地域で、53に及ぶブティックを構えている。

創業者と日本との知られざる関わりとは

不朽の名作「フォース10」が55周年を迎えた本年に、フレッドが掲げる “Live the Joy” という精神
メゾンを代表するコレクション「フォース10」の、ラージサイズのブレスレット。エレガントかつスポーティ、そしてどこまでもシンプル。石付きジュエリーに慣れない人が身に着けても、不思議と馴染んでくれるデザインなのだ。スーツからデニムまで、あらゆるスタイルにマッチする逸品。ぜひお試しを。K18WG、ダイヤモンド。97万3000円/フレッド 03-6679-2011

フレッドが手掛けるジュエリーは革新的でコンテンポラリーなデザインが特徴だ。だが出自をたどれば、意外にもオーセンティックなジュエラーの世界へと行き着く。

「フレッド・サミュエルがブランドを創業したのは1936年のこと。しかしその歴史を語るのであれば、やはり彼の家系についても語られるべきだと思います」。

CEOを務めるチャールズ・レオン氏は、創業者フレッド・サミュエルについて語り継がれるいくつかのエピソードを教えてくれた。

「彼はフランス人ですが、宝石取引の拠点として父親が移住したアルゼンチンで生まれました。父親のダイヤモンドや真珠、カラーストーンに対する情熱を、幼い頃から身体で感じとっていたのです」。

その父親はのちに、“南米のパリ”と呼ばれた首都ブエノスアイレスの目抜き通りに宝石店を構えるにいたった。そして叔父もまた、ダイヤモンドなどを扱う宝石商であったという。フレッド・サミュエルはまさに、ジュエリーに囲まれて育った人物なのだ。

「彼がジュエリー業界で働き始めたのは16歳のとき。まずは模造の真珠を扱っていた“ワームズ”という会社で基礎を学びました。その後フランスのミキモトで働き、スペシャリストとしての一歩を踏み出します。また日本やアメリカを旅行し、ヨーロッパ以外の文化に触れ見聞を広めていきました」。

創業者がミキモトで働いていたという事実にも驚くが、当時の日本の真珠養殖技術の高さがうかがえる、興味深い話でもある。

「そして28歳のとき、パリのロワイヤル通りにブティックをオープン。これがフレッドの始まりです。第二次世界大戦後には自身と会社を“モダン ジュエラー クリエイター”と定義しました」。

幼少よりジュエリーに親しみ、コスモポリタンとして経験を積んだフレッド・サミュエル。伝統を知り尽くした人物だからこそ、真の革新を生み得たのかもしれない。

NEXT PAGE /

海を感じさせる新しいジュエリーの誕生

設立80周年を記念して、2016年に誕生した「シャンス アンフィニ」コレクション。数字の8のようなダブルループは、創業者フレッド・サミュエルの生まれ月や、最初にオープンしたブティックの場所(パリ8区)などに由来する。また「無限」や「永遠」といった意味も込められている。K18PG、ダイヤモンド。リング40万円、ネックレス26万6000円/ともにフレッド 03-6679-2011

「創業当時は真珠を使ったジュエリーを得意としていました。ピンクがかったクリーム色の、最高品質の真珠がパリで評判に。のちにそれは“フレッドカラー”と呼ばれるようになりました」。

今までに見たことのない革新的なジュエリー。それを生み出す技術とセンスに加え、フレッド・サミュエルには生来の明るさとカリスマ性が備わっていたという。

「彼が所有していたアドレス帳を見れば、その社交性の高さをうかがい知ることができます。グレース・ケリー王妃をはじめとしたモナコ王室、マーゴ・ヘミングウェイ、ジャン・コクトー、マレーネ・ディートリッヒ……。文化人から映画スターまで、セレブリティの名前が溢れていました」。

そんなフレッドの名声をさらに押し上げた作品が、’66年に発表された「フォース10」だ。誕生のきっかけはフレッド・サミュエルの息子、アンリ・サミュエルによる。彼がヨットのシャックル(連結具の一種)とケーブルをつなげてブレスレットを作り、妻に贈ったのがその始まりである。

「“諦めることなく、自分の限界にチャレンジする”というスポーツの精神を具現した“フォース10”。海とセーリングにインスピレーションを得たこのコレクションは、男性客の好みを刺激しました」。

ちなみにアンリ自身は、「フォース10」発表以前の’62年に、ヨーロッパのセーリング大会でチャンピオンに輝いている。つまり「フォース10」とは正真正銘、海を愛する男が作った海を感じさせるジュエリーなのだ。だからこそ、そこに息づいたスピリットは色褪せることなく、今も輝き続けているのだと思う。

「使い勝手の良さも抜群です。バックルとケーブルを自由に選択して、自分好みにカスタマイズ。あらゆるオケージョン、あらゆるスタイルにマッチするジュエリーなんです。オーシャンズの読者の方々に、ためらうことなくおすすめできるコレクションですね」。

NEXT PAGE /

いつの時代も、笑顔が私たちを助けてくれる

人気コレクション「パン ドゥ スークル」のリングがこちら。コレクション名はフランス語で「錐形の白砂糖の山」という意味。カラーストーンの輝きを際立たせる、独特の錐形のカッティングが特徴だ。スイスブルートパーズ、K18YG、ダイヤモンド。105万8000円/フレッド 03-6679-2011

創業以来チャレンジングな姿勢を貫き続けてきたジュエラー、フレッド。2021年はさらなる革新に挑みたいとレオン氏は言う。

「“プリティウーマン”という、まったく新しい女性向けコレクションを発表します。アンバサダーにはエマ・ロバーツ(女優ジュリア・ロバーツの姪)を迎えました」。

コレクション名を聞いて頭に浮かぶのは、’90年公開の映画『プリティ・ウーマン』だ。劇中でリチャード・ギアがジュリア・ロバーツにペンダントを贈るシーンがある。このペンダントが実は、フレッドのものだったのだ。30年を経てジュエラーと映画が邂逅を果たし、新たな革新を生んだのである。

「また’21年は“フォース10”の55周年にも当たります。男性向けの新たなジュエリーも発表して、幅広い選択肢をお見せしたいですね」。

「フォース10」のミディアムモデル。カラーストーンをグラデーションで配したバックルに、繊維状のステンレススティールを編み込んだケーブル。その2つが見事に調和した美しいブレスレットだ。ミディアムモデルはやや華奢な作りで、パートナーとの共用にも向く。K18YG、エメラルド、グリーンガーネット、ダイヤモンド。43万3000円/フレッド 03-6679-2011

さて昨年来、日本のみならず世界中が、新型コロナウイルスの感染拡大という未曾有のパンデミックを経験した。そしてそれは残念ながら、現在進行形で続いている。

「ロックダウン中は特に、ヨーロッパでの生産、販売に大きな影響が出ました。またブティックのクローズやイベント自粛によりお客さまとのコミュニケーションがとれず、大変残念な思いをしました」。

だが下を向いてばかりはいられない。困難な状況に打ち克つため、現在は“Live the Joy”という広告キャンペーンを展開している。

「この広告は、人々を笑顔にするすべての瞬間を称賛するものです。幸せな時間がほんの少しでもあれば、誰もがきっとポジティブな気持ちになれると思う。いつも明るく笑顔であった創業者、フレッド・サミュエルの精神は、今も私たちの支えになっているのです」。

 

※本文中における素材の略称:K18=18金、YG=イエローゴールド、PG=ピンクゴールド、WG=ホワイトゴールド

鈴木泰之=写真 加瀬友重=編集・文

# フレッド# フォース10
更に読み込む
一覧を見る