「部長びんびん“着回し”物語 Season6」とは……仕事ではコロナ渦による業績下降に頭を抱えるユースケ。しかしプライベートではボクシングの腕前がメキメキ上達。つい“調子ノリノリ・ユースケ”が顔を出し、強そうな相手にスパーリングを頼むもその相手はなんと……!
Day 25 TUE.
身の程知らずがまさかの棚ボタ。未来の世界チャンピオンとのスパーリングが実現するも……
ボクシングの腕前がめきめき上達し、最近ではスパーリングも始めたユースケ。
章太郎をはじめ、並み居る練習生を圧倒し、『オレはマジで天才かもしれん』と本気で思うようになった。ユースケの格好は白のスウェットパーカに同色系のナイロンパンツ。パーカの裾からチラ見えする赤いTシャツがアクセントに。
そんなキザな練習着に身を包んだ天狗の目に、ある男の姿が留まった。「すいません、スパーリングお願いできますか?」。ユースケの言葉に周囲の練習生たちは凍り付いた。この男こそ日本ボクシング界の未来を背負うプロボクサー、桑原拓選手その人だったのである。
名門・大橋ボクシングジムに所属し、プロでの戦績は7戦7勝(2020年10月12日現在)。日本フライ級9位で、ボクシングツウの間では『コロナがなければ、今頃世界チャンピオンになっていてもおかしくない』といわれるほどの逸材だ。
あの井上尚弥選手から唯一認められたスパーリングパートナーなどその伝説は数えきれない。11月28日(土)には東京・後楽園ホールで開催される、プロボクシングの元世界3階級王者の八重樫東さんの引退記念イベントにて、エキシビション(スパーリング)の対戦相手にも選出されているほど。
そんな彼は道場内で上級者クラスのコーチングもしているのだが、ユースケの申し出に「いいっすよ。やりましょう!」と意外にも快諾してくれたのだ。そして運命のゴングが鳴った。
ユースケは開始直後から颯爽とパンチを繰り出すが、桑原選手のフットワークが軽すぎて当たる気配すらない。早くも息が上がってしまい、足元がふらつく。そこに桑原選手の右がみぞおちへクリーンヒット。
「ドフッ」という鈍い音が響いたあと、膝から崩れ落ちた。のたうち回るユースケに「だ、大丈夫ですか!?」とさすがの桑原選手も焦る。
あとで周囲から彼の素性を聞き、腰を抜かさんばかりに驚いた。時間はわずか40秒あまり。
地獄の痛みも味わったが、未来の世界チャンピオンとのスパーリングはユースケのボクシング人生にとってかけがえのない宝物となった。
着回しアイテム【7】「イーストファーイースト」のパーカネップが印象的な裏毛スウェット。ヴィンテージに見られる後付けフードも着こなしのこなれたアクセントに。2万円/イーストファーイースト(ブツヨク ストア 03-6447-2018)
【16】「エイトン」のパンツ米軍のスノーパンツをベースにシルエットを今風にアレンジ。高密度ナイロンは天然繊維のような肌触りと表面のシボ感が持ち味だ。3万3000円/エイトン(エイトン 青山 03-6427-6335)
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