ニューノーマルな時代の「大人カジュアル」ガイドブック Vol.6
2020.10.14
FASHION

2大セレクトショップのディレクター対談。スポーツウェアは楽な服の代表選手だ

いい大人の装いに求められるのは、気負いのなさ。「楽」であることが何より欠かせない。すると動きやすいスポーツウェアは、大人カジュアルに格好の服ということになる。

街着として上手に活用するポイントを、その道の達人であるふたりに訊いた。

 

2大セレクトショップのディレクターが考えるスポーツな服のこなし方

[左]エストネーション バイヤー/ディレクター 鷲頭直樹さん Age  47[右]ユナイテッドアローズ クリエティブディレクター 松本真哉さん Age  44

[左]エストネーション バイヤー/ディレクター
鷲頭直樹さん Age  47
ビューティ&ユースやユナイテッドアローズ&サンズのバイヤーとして活躍したのち、2019年にエストネーションへ。アメカジからラグジュアリーウェアまで幅広くファッションに精通する。

[右]ユナイテッドアローズ クリエティブディレクター
松本真哉さん Age  44
オーシャンズが考えるザ・オーシャンズな男。2010年にビューティ&ユースのメンズファッションディレクターに就き、 ’19年より現職を務める。最近は早起きをしてガーデニングを楽しんでいるとか。

──おふたりにとって、最も“楽”でいられる服って何でしょうか?

松本 楽っていうのは着心地だけじゃなくいろいろな要素があると思うんですけど、僕にとって欠かせないのは気分も楽であること。するとやっぱりTシャツですね。

鷲頭 僕も休みは大概、Tシャツに短パン姿です。昔だとレストランに行くならちょっとお洒落しようとかそういう意識もありましたが、今は普通にTシャツを着て行ける時代。だらしなく見えないものも増えていますよね。都合のいい服というか。

松本 きれいめのTシャツですよね。僕も大事な会議のときなどに活用していますが、ただ、個人的にはそういうきれいなものよりBBQにも着て行ける“社交的じゃないTシャツ”が好き(笑)。秋冬もベースはそれ。

鷲頭 サーフィンに行くときも、Tシャツの上にフリースを羽織って、みたいのがいちばん楽ですからね。

松本 ですね。ちょっとムードを出すなら、短パンにヘヴィウェイトのスウェットパーカを羽織って、薄い生地のシャツを重ね着してみるとか。組み合わせも順番もおかしくない?っていうのをやってみたくなる。

鷲頭 アンバランス感がいいという。

松本 でもサンフランシスコ界隈のサーファーなんか、下は短パンはいているのにスウェット着て、さらにぶ厚いフリースを羽織って……というのを普通にやっていますよね。

鷲頭 向こうは朝と夕方が寒くて昼間は暖かいという寒暖差のある気候だからそれも当たり前みたいですが、憧れみたいな気持ちはありますよね。

松本 今年はコロナの影響もあって、短パンをはくのに慣れた大人が増えたと思うんです。サーファーに限らずぜひ実践していただきたいですね。

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サイズ選びが明暗を分けるスウェットパンツ

──ところで松本さんはナイロンのリブパンをはかれていますが、どちらのブランドのパンツでしょうか?

松本 前に作ったエイチ ビューティ&ユースのオリジナルです。’70年代のスウェットパンツを基にしたもので、脇のステッチは内側だけですし、尻ポケットも付いてないんです。クラシックスポーツウェアを現代的なナイロンで、という企画ですね。

鷲頭 服好きにめちゃくちゃ刺さりそう。ナイキのテックフリースとか、機能性素材のリブパンはトレンドとしてありますよね。それに今季は、スウェットパンツをはきたい気分。

松本 まったくもって同感です。

──どんな合わせではきますか?

松本 僕はパンツのリブ裾からローゲージのソックスをちらっと覗かせて、足元にはレッド・ウィングを合わせたザ・’90年代という感じでいきたいです。アメカジ全盛期の感じといいますか。ボトムスがカジュアルなので、トップスにはセーターなどを合わせてきれいめに。カシミヤニットなんか、最高じゃないですか?

鷲頭 僕は上下スウェットもありかと。シルベスター・スタローンみたいな(笑)。アウターには革のコートなんかを羽織って、素材感に変化をつける。ちょっぴりB級な感じを出したいので合皮のコートもいいかもしれません。足元はクラークスで。コンバースのオールスターもいいと思うのですが、ちょっと品のいいものを選んでバランスを取りたいです。

松本 上下スウェットも気分ですね。

──難しくありませんか!?

松本 サイズ選び次第だと思います。チャンピオンなどのベーシックなスウェット上下であれば、ジャストか、少し小さめを選んで小ぎれいに着るとバランス良くこなせるでしょう。これが大きめを選んでしまうと途端にどこかの西口感が出ちゃう(笑)。

鷲頭 ちなみに、スウェットやジャージのセットアップはエストネーションでは定番で、今季は特に充実しています。風合いが艶やかで、色は黒のものが鉄板ですね。着心地は楽なのにラグジュアリーに見える、どこかクラス感が滲むのが魅力です。シルエットが細身で、体のラインがきれいに表れるのも人気の理由です。

松本 「楽なんだけど○○」というのは昨今の服のキーワードですよね。

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ショップにスポーツウェアを置く理由

──エイチ ビューティ&ユースの店頭では、ナイキのスペースが設けられています。なぜでしょうか?

松本 やっぱり、楽な洋服を求める要望に応えるためですね。難しいことを考えずに気楽に着られる服って、絶対に必要じゃないですか。するとスポーツウェアは一定量置いていたいんです。実際、すごく人気です。

鷲頭 スポーツブランドのウェアって、ロゴの力も偉大だと思うんですよ。誰が見てもどんな服かがわかるし、着れば一発でそれっぽく見えてサマになる。人気のエフシーレアルブリストルも、ロゴにインパクトがありますもんね。

松本 ロゴが助けてくれるってありますよね。それもひとつの楽なのかもしれない。ナイキは誰が見てもそれとわかるけど、ファッションを邪魔しないところもいい。それから、僕らは職業柄、この服は着丈があと1cm長ければ、あるいは短ければとか考えてしまいますが、スポーツウェアだとそれがない。細かいところが気にならないのも大きな魅力かと。

鷲頭 着心地が楽ってだけでなく、いちばん面倒がない服がスポーツウェアなのかもしれませんね。

 

恩田拓治=写真 増田海治郎、大西陽子、髙村将司、菊地 亮、秦 大輔、増山直樹=文 長谷川茂雄=編集・文

# スポーツウェア# 大人カジュアル
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