そこが知りたい! 女性が好きな男服 Vol.28
2020.09.21
FASHION

男を素敵に演出してくれる、女性クリエイターが作るメンズウェア

女性が思う「理想の男性像」。そのヒントは、第一線で活躍する一流の日本人女性クリエイターにあった。

彼女たちが手掛ける服は、我々を「女性目線」でもっと素敵にしてくれる。

 

「普通を積み上げて心地良い服をつくる」
LOEFF ロエフ

写真のベストは、メランジ調の味のある表情が特徴の圧縮フランネル製。/ロエフ
3万6000円/ロエフ(ロエフ 六本木店 03-5786-0877)

気負わず気張らず。粋な男性をイメージしてメンズウェアをつくるというロエフのデザイナー鈴木里香さん。彼女が手掛ける服は、シンプルでいて心地良いニュアンスを感じさせるものばかりだ。

「’20AWシーズンのコレクションテーマに掲げたのは“樹海”。街にも森の中にも馴染むスタイリングをイメージしました」。

写真のベストは、メランジ調の味のある表情が特徴の圧縮フランネル製。艶やかなパイピングを配してクリーンな表情を加えたり、抜けた感じを演出できるよう少し肩先が浮くパターン設計に、こまやかなこだわりが感じられる。コーディネイトは「Tシャツの上にもニットの上にも、悩まず着ていただきたいです。バンドカラーシャツを合わせるのもおすすめ」と鈴木さん。

なおデザイン哲学については「なるべくデザインしないようデザインしています」とのこと。デザインは「動きやすいか、後ろ姿もカッコいいかなど、普通のことを積み上げた結果」のカタチなのだそう。

しかし一見普通なようで、どこか洒落て映るのが、ロエフのウェアの真骨頂。それは、大人のファッションにおけるひとつの理想をかなえるものである。気負わず気張らず、粋に着られたし。

ディレクター兼デザイナー
鈴木里香さん
東京都生まれ。B&Y ウィメンズのチーフデザイナーを経て、スティーブン アラン、エイチ ビューティ&ユースにてデザイナーを務める。2019年秋冬より現職を兼務。信条は「着ていただく方が、少しでもよい一日を過ごせる」服作り。

 

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「女性用バランスで男性服に“お返し”」
MADISONBLUE マディソンブルー

このジャケットに合わせるならあえてきれいめのスラックスがいいですね。/マディソンブルー
5万2000円/マディソンブルー 03-6434-9133

「実はもともと、特定の男性像を描いた服づくりはしていないんです。私がウィメンズの服をつくるときは、メンズライクなアイテムを女性らしく落とし込むことが多い。そうして出来上がったものを改めて男性用としてフィードバックすると、一般的なメンズウェアには見られないバランス感が生まれるんです」。

男性服→女性服→男性服のルートをたどることで生まれる独特のバランス感。そこが大きな魅力であり、デザインの面白さだと中山まりこさんは言う。

「このジャケットもそう。女性の体を意識してカマ(アームホール下の脇に当たる部分)は小さめに、袖丈は少し短めに仕立ててあるんです」。

アイテムやディテールはメンズ由来だが、着るとどこかジェンダーレスな雰囲気が漂う。その理由はマディソンブルー独自のバランス感によるものだったのだ。またそうした“仕掛け”が決して嫌みに映らない卓越したセンスの良さについても、当然言及しておかねばなるまい。

「このジャケットに合わせるならあえてきれいめのスラックスがいいですね。そして足元はヴァンズのスニーカーがカッコいい! 大人の男性には、今まで自身が通ってきたカルチャーや音楽などを装いに活かしながら、ルールを飛び越えた遊びのあるスタイルを楽しんでほしいです」。

デザイナー
中山まりこさん
東京都生まれ。1980年代よりスタイリストとして活動。広告、雑誌、音楽など幅広い分野でスタイリングを手掛ける。2014年にマディソンブルーを設立。品質に優れ、カジュアルにもモードにもフィットする服が話題を呼んでいる。

 

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「服には職人の技術と心が宿る」
KICS DOCUMENT. キクス ドキュメント.

キクスドキュメント.のハイエンドレーベル、コノロジカからリリースされたカーゴパンツにも、武石さんの職人気質が息づいている。
2万9000円/キクス ドキュメント.(ヘムト PR 03-6721-0882)

「学生時代からメンズウェアのデザイナーになることだけを目指していました。構築的なものづくりが好きだったんです」。

日本の大学で工業デザインを、アメリカの大学でテーラリングを学んだ武石佳南子さん。技術追求の志向の源流は、幼い頃の遊び場でもあった祖父の靴工房にある。

「6坪ほどの工房兼店舗で、靴職人の祖父は黙々と作業していました。近所のお客さんが訪れ、ひとしきり祖父とのおしゃべりが終わる頃には、ピカピカの靴が手渡されます。そのときのお客さんの表情を見るのが好きでした」。

職人の技術とそこから生まれるものには、人を優しい気持ちにさせ、それを大切に使いたいと思わせる力がある。そしてキクスドキュメント.のハイエンドレーベル、コノロジカからリリースされたカーゴパンツにも、武石さんの職人気質が息づいている。

「洗濯を重ねてもへたらず、味になる生地を選んでいます。そのうえで“ドレスシーンでの着用”も目指しました。プレスした深いタックがキレイな見た目と動きやすさを両立。インタックなので着用時も外に広がりすぎず、美しいシルエットを保ちます」。

上はジャケット&シャツ、足元には黒のプレーントウを合わせるイメージでデザインしたそうだ。服づくりという日本の職人技術のひとつが、今確かにここに継承されている。ちなみにブランド名の「KICS」は、武石さんの祖父、喜久雄さんの名前に由来する。

デザイナー
武石佳南子さん
神奈川県生まれ。日本大学芸術学部を卒業後、ニューヨーク州立ファッション工科大学へ。帰国後メンズウェアデザイナーなどを経て、2012年にキクス ドキュメント.を設立。「日本の職人技を守り、継承すること」を信条とする。

 

鈴木泰之=写真 菊池陽之介=スタイリング 加瀬友重、いくら直幸、秦 大輔=文

# ウーマンクリエイター# 女性目線# 日本ブランド
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