「女性用バランスで男性服に“お返し”」
MADISONBLUE マディソンブルー
「実はもともと、特定の男性像を描いた服づくりはしていないんです。私がウィメンズの服をつくるときは、メンズライクなアイテムを女性らしく落とし込むことが多い。そうして出来上がったものを改めて男性用としてフィードバックすると、一般的なメンズウェアには見られないバランス感が生まれるんです」。
男性服→女性服→男性服のルートをたどることで生まれる独特のバランス感。そこが大きな魅力であり、デザインの面白さだと中山まりこさんは言う。
「このジャケットもそう。女性の体を意識してカマ(アームホール下の脇に当たる部分)は小さめに、袖丈は少し短めに仕立ててあるんです」。
アイテムやディテールはメンズ由来だが、着るとどこかジェンダーレスな雰囲気が漂う。その理由はマディソンブルー独自のバランス感によるものだったのだ。またそうした“仕掛け”が決して嫌みに映らない卓越したセンスの良さについても、当然言及しておかねばなるまい。
「このジャケットに合わせるならあえてきれいめのスラックスがいいですね。そして足元はヴァンズのスニーカーがカッコいい! 大人の男性には、今まで自身が通ってきたカルチャーや音楽などを装いに活かしながら、ルールを飛び越えた遊びのあるスタイルを楽しんでほしいです」。
| デザイナー 中山まりこさん 東京都生まれ。1980年代よりスタイリストとして活動。広告、雑誌、音楽など幅広い分野でスタイリングを手掛ける。2014年にマディソンブルーを設立。品質に優れ、カジュアルにもモードにもフィットする服が話題を呼んでいる。 |
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