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「服には職人の技術と心が宿る」
KICS DOCUMENT. キクス ドキュメント.

キクスドキュメント.のハイエンドレーベル、コノロジカからリリースされたカーゴパンツにも、武石さんの職人気質が息づいている。
2万9000円/キクス ドキュメント.(ヘムト PR 03-6721-0882)
「学生時代からメンズウェアのデザイナーになることだけを目指していました。構築的なものづくりが好きだったんです」。
日本の大学で工業デザインを、アメリカの大学でテーラリングを学んだ武石佳南子さん。技術追求の志向の源流は、幼い頃の遊び場でもあった祖父の靴工房にある。
「6坪ほどの工房兼店舗で、靴職人の祖父は黙々と作業していました。近所のお客さんが訪れ、ひとしきり祖父とのおしゃべりが終わる頃には、ピカピカの靴が手渡されます。そのときのお客さんの表情を見るのが好きでした」。
職人の技術とそこから生まれるものには、人を優しい気持ちにさせ、それを大切に使いたいと思わせる力がある。そしてキクスドキュメント.のハイエンドレーベル、コノロジカからリリースされたカーゴパンツにも、武石さんの職人気質が息づいている。
「洗濯を重ねてもへたらず、味になる生地を選んでいます。そのうえで“ドレスシーンでの着用”も目指しました。プレスした深いタックがキレイな見た目と動きやすさを両立。インタックなので着用時も外に広がりすぎず、美しいシルエットを保ちます」。
上はジャケット&シャツ、足元には黒のプレーントウを合わせるイメージでデザインしたそうだ。服づくりという日本の職人技術のひとつが、今確かにここに継承されている。ちなみにブランド名の「KICS」は、武石さんの祖父、喜久雄さんの名前に由来する。
デザイナー
武石佳南子さん
神奈川県生まれ。日本大学芸術学部を卒業後、ニューヨーク州立ファッション工科大学へ。帰国後メンズウェアデザイナーなどを経て、2012年にキクス ドキュメント.を設立。「日本の職人技を守り、継承すること」を信条とする。
 
鈴木泰之=写真 菊池陽之介=スタイリング 加瀬友重、いくら直幸、秦 大輔=文


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