この夏、あれもしたいし、コレも欲しい! Vol.24
2020.08.07
FASHION

デウス エクス マキナが考えるカッコいい男は「戦士であり詩人でもある」

デウス エクス マキナの背骨はバイクとサーフィンという2つのカルチャーだ。

創設者のデア・ジェニングス氏とディレクターを務めるカービー・タックウェル氏は、異口同音に「カルチャーに対する理解が最も重要だ」と語った。

[左]社長/創設者 デア・ジェニングス 氏[右]グローバル・クリエイティブディレクター カービー・タックウェル 氏

[左]社長/創設者 デア・ジェニングス 氏
1950年、オーストラリア・シドニー出身。’84年に地元シドニーにてサーフアパレル「マンボ」を立ち上げる。タックウェル氏いわく「ここ40年のポップカルチャーを牽引してきた人物」。マンボの株式を売却したのち、2006年にデウス エクス マキナを設立。以来社長を務めている。趣味はバイク、サーフィン、サイクリング。

[右]グローバル・クリエイティブディレクター カービー・タックウェル 氏
1972年生まれ。パプアニューギニアの首都、ポートモレスビー出身。父はオーストラリア人、母はニュージーランド人。4歳でオーストラリアのバイロンベイに移住。趣味はアート、バイク、音楽。クリエイティブディレクターとして多忙な日々を過ごすが、「趣味がそのまま仕事だから疲れない」のだとか。2人の子供を持つ父親でもある。

Brand Profile
2006年、オーストラリア・シドニー郊外の街、キャンパーダウンにて設立。バイク、サーフィン、自転車、スケートボード、スノーボードといったカルチャーを独自の視点で消化し、洗練された服とギアを発信するブランドだ。現在はアメリカ、イタリアなど世界5カ国に旗艦店を構えている。ブランド名はラテン語で「機械から現れた神」を意味する。

ブランドを支える強固なカルチャー

デウス エクス マキナというブランドが日本にやってきたとき、その世界観に圧倒された記憶がある。

2014年に原宿にオープンした旗艦店。服と同じようにヘルメットやグローブ、サーフボードやウエットスーツなどのギアがずらりと揃い、そのどれもが卓越したセンスを備えている。バイクとサーフィンのカルチャーをひとつの形にすればきっとこういうことなのだと、まさにカルチャーショックを受けたのである。

ブランドのアイコンとなるロゴをあしらったキャップと、スタイリッシュなサングラス。/ともにデウス エクス マキナ
ブランドのアイコンとなるロゴをあしらったキャップと、スタイリッシュなサングラス。左から3500円、2万9000円/ともにデウス エクス マキナ(ジャック・オブ・オール・トレーズ 03-3401-5001)

「ブランドが始まったきっかけはきわめてシンプル。カービー(・タックウェル氏)の描く素晴らしいグラフィックを使って、服を作ってみたかったんだ」。

創設者のデア(・ジェニングス氏)はこう回想する。そしてカービーは、ブランド設立当時と同じように、今も商品に使うグラフィックを自ら手掛けている。下のバイクと車のTシャツも彼の作品だ。

左はアルファロメオの旧車、右はトラッカーが描かれている。/デウス エクス マキナ
左はアルファロメオの旧車、右はトラッカーが描かれている。各6000円/デウス エクス マキナ(ジャック・オブ・オール・トレーズ 03-3401-5001)

この2人が中心となり、アパレルとカスタムバイクのブランドとしてスタート。その後’07年のパリ店オープンの際にサーフを始めたというのが、正確なところである。彼らが愛するバイクの魅力とは、そしてサーフィンの魅力とは何なのだろうか。

「私はいつも応用美術(=applied art)という概念に魅力を感じている。それは日用品のなかにあるアートのことさ。バイクはその最たる例だし、ロマンと個性があるじゃないか」。(デア)

「サーフィンのスキル自体は比較的短期間で身に付きます。だけど、海を理解するまでにはかなりの時間がかかる。ここが面白い。つまりフィールドコンディションが常に変化するという点が、サーフィンの魅力を特別なものにしているのだと思います」。(カービー)

新作のタッパー。ハートワッペン付きのレディスモデルは、デウス エクス マキナ 浅草限定アイテム。/デウス エクス マキナ
新作のタッパー。ハートワッペン付きのレディスモデルは、デウス エクス マキナ 浅草限定アイテム。各3万3000円/デウス エクス マキナ(ジャック・オブ・オール・トレーズ 03-3401-5001)

ブランドのフィルターを通してバイクとサーフィンの魅力を表現し、徐々に共感する人々を増やしていった。設立して15年。一過性ではないブームを作り上げてきた事実が、このブランドの土台の強固さを物語っている。

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強いだけでは格好良くなれない?

バイクとサーフィン。その言葉だけを聞くと、きわめて男くさいカルチャーをイメージしてしまう。だが、デウス エクス マキナの服には都会的な洗練も感じる。なぜか。デアはこう語る。

「私たちは、店にたくさんの服やギアをディスプレイして世界観を表現する。でも、そこからひとつのアイテムを取り出したときにも、存在感のある、格好いいものであるよう心がけているんだ」。

名盤を手にして子供に音楽を啓蒙する、ユニークなコアラのイラスト。/デウス エクス マキナ
名盤を手にして子供に音楽を啓蒙する、ユニークなコアラのイラスト。1万円/デウス エクス マキナ(ジャック・オブ・オール・トレーズ 03-3401-5001)

その格好良さのために、2つのことを徹底しているというのはカービーだ。

「それは“品質”と“楽しさ”。ブランドのDNAの核にあたります。この哲学に合わないものは絶対に作りません」。

イメージに関しては細心の注意を払っているとも教えてくれた。

「不良っぽさやマッチョな感じといった、ステレオタイプに陥らないよう気をつけています。力強さを否定するわけじゃない。ただ、それよりもアートやカルチャーから漂う知性を重視しているんです。この話をするとき、私たちはよく“戦士であり詩人でもあること”という表現を使います」。

毎シーズン多彩な色柄が展開されるボードショーツ。フェードカラーがいい感じだ。/デウス エクス マキナ
毎シーズン多彩な色柄が展開されるボードショーツ。フェードカラーがいい感じだ。水抜けの良さなど機能性も抜群。左から1万円、1万2000円/ともにデウス エクス マキナ(ジャック・オブ・オール・トレーズ 03-3401-5001)

強さと知性を兼ね備えた男。確かに僕らはそんな男に憧れてきた。デウス エクス マキナの服に惹かれる理由は、こうした哲学が心に響くからなのだろう。

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浅草に店を作れば東京全体をフォローできる

さて冒頭に記した原宿の旗艦店だが、実は賃貸契約満了のため今年3月にクローズとなっている。その後、当初4月にオープンする予定だった浅草店は、新型コロナウイルスの影響で予定が延びてしまったが、去る6月18日に待望のスタートを切った。

さてそもそもの疑問がある。なぜ浅草という場所を選んだのだろうか。カービーの説明はこうだ。

スカイツリーのお膝元である浅草にて、6月18日にオープンした「デウス エクス マキナ 浅草」。
スカイツリーのお膝元である浅草にて、6月18日にオープンした「デウス エクス マキナ 浅草」。アンテナショップという位置付けで、看板メニューの「バーベキュー プルド ポーク」(1300円)などフードも大充実だ。

「原宿のショップは、東京の西側にありました。加えて東側の浅草にショップがあれば、私たちのカルチャーを理解してくれる街である東京全体を、確実にフォローできると思ったのです」。

つまり「原宿を閉めて浅草を開く」のではなく、「原宿に加えて浅草を開く」ということだったのだ。

まずは浅草へ遊びに行こう。そして決して遠くない将来に、原宿エリアに再び旗艦店がオープンするはずだ。その際には改めて情報をお伝えしたいと思う。

「珈琲」の文字が目を引く法被(7000円)や、Tシャツ、マグカップなど、ここ限定のアイテムも多数。
「珈琲」の文字が目を引く法被(7000円)や、Tシャツ、マグカップなど、ここ限定のアイテムも多数。

「ブランドとしての今後の目標? 新型コロナウイルスの影響で、文字どおり“生き残ること”になったんじゃないかな」。

決して冗談ではないと、創設者のデアは言う。そして、補足するようにカービーはこう言った。

「生き残るためには、私たちのカルチャーを浸透させるアクティビティを続けていくしかありません。今まで以上に格好いい服をどんどん作っていきたい。また旗艦店からの発信だけではなく、さまざまなことに取り組んでいきたいですね。例えば映画を作ったり、音楽を作ったり」。

新型コロナウイルスは、ファッションに限らずあらゆる産業にダメージを与えた。もちろんデウス エクス マキナも影響を受けたに違いない。しかしながらブランドを代表するこの2人から受けるのは、自信と強さのオーラであった。

なぜ揺るがないのか。それは、カルチャーというものが本来的に備えているタフネスを信じているから、ではないだろうか。

デウス エクス マキナ 浅草
住所:東京都墨田区向島1-2-8 東京ミズマチ ウェストゾーン
電話番号:03-6284-1749
営業:11:00〜20:00 無休
https://shop.jp.deuscustoms.com

 

鈴木泰之=写真(静物) 加瀬友重=編集・文

# デウス エクス マキナ# ブランド知り# 浅草
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