夏まで待てない……「Tシャツ」大特集! Vol.42
2020.07.12
FASHION

渡辺真史さんの理想の部屋着は、ビッとした不良のようなセットアップだった

メキシコ系アメリカ人のギャングたちを描いた映画『ブラッド・イン ブラッド・アウト』。観たのは1993年頃、大学生のときですね。

「LAにはこんな不良連中がいるのか!」と、かなりの衝撃を受けました。映画はもちろんフィクションですし、劇中の舞台は’70年代のイーストLAで、リアルタイムとはかなりズレがあったはず。でも何せインターネットのない時代です。ものすごくリアルに感じたんですよ。

『ブラッド・イン ブラッド・アウト』1993年公開のアメリカ映画。イーストLAのメキシコ系アメリカ人居住区を舞台に、3人の若者の青春を描いた作品。
『ブラッド・イン ブラッド・アウト』1993年公開のアメリカ映画。イーストLAのメキシコ系アメリカ人居住区を舞台に、3人の若者の青春を描いた作品。タイトルはメキシカン・マフィアの掟「血により入り血により出る」に由来する。監督はテイラー・ハックフォード。 © Everett Collection/AFLO

実社会においても、LAでは’80年代の終わり頃から人種間の対立がくすぶっていて、大規模な暴動も起きました。僕の世代の人たちは記憶してるんじゃないかな。そんな時代背景のせいか、当時はマイノリティたちを描いた映画作品が多かったような気がします。

いずれにしても『ブラッド〜』は当時、アジアの片隅にいた僕のような若者たちの間でも「すげえ映画がある」と話題でした。ただ、決して万人に受けるような映画じゃなかった。

僕を含めてストリートカルチャーのなかで生きているような連中の間で、カルト的な人気があったんです。(2020年現在、日本語版のオンラインストリーミングがないと聞いて)ああ、やっぱりある種のカルトな映画だったんですよ(笑)。いずれにしても不良の要素を持つ“そういう界隈の”やつらに支持されたってことは、『ブラッド〜』には“そういう界隈の”リアリティがあったのでしょう。

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© Everett Collection/AFLO

ステイホーム、ステイセーフと言われてもう2カ月(2020年5月時点)が経ちました。その間、僕らは家、すなわち安全な場所にずっと身を置いているわけです。すると不思議なことに、映画は危険なやつが観たくなるんですよ。『ブラッド〜』みたいなギャング映画とか、任侠映画とか、ドキドキハラハラするような。これってどういう心理なのでしょうか。

おそらく僕らは普段、外に出て、人に会って、いろんな刺激をもらっているんだと思います。それが、家で落ち着いて過ごすことが多くなると、刺激がなくなる。そこで映画や音楽に刺激的なものを求めてしまうのではないでしょうか。

家で過ごす時間が多くなれば、部屋着に気を配るというのは自然な流れです。僕はワークウェア、それもセットアップがいいんじゃないかと思い、こちらを作りました。

ワークウェアというと硬めの生地が思い浮かぶが、こちらはソフトな生地で製作。ルームウェアとして、またワンマイルウェアとしてもご活用を。
ワークウェアというと硬めの生地が思い浮かぶが、こちらはソフトな生地で製作。ルームウェアとして、またワンマイルウェアとしてもご活用を。シャツ2万8000円、パンツ3万3000円/ともにベドウィン & ザ ハートブレイカーズ(ザ・ハートブレイカーズ 03-6447-0361)

上は開襟のワークシャツ、下はオーソドックスなワークパンツ。どちらも生地と同系色のストライプが入っています。ゆとりのあるシルエットでリラックスできる。でも適度にきちんとしているから、近所のスーパーやコンビニに出かけるのにもいい。

僕の中で「ワークウェアの着こなし」というと、やはりカリフォルニアの、メキシカンたちのスタイルなんです。決して高価ではないワークウェアなんだけど、きれいに、ピシッと着こなす。ディッキーズのワークパンツにきちんとアイロンをかける。髪もきっちり剃り上げる。あるいはオールバックでキメる。彼らの着るワークウェアは、シャープな感じがするんですよね。

家にいるからといって、だらしない格好でいいというわけじゃない。『ブラッド〜』に出てくるギャングたちのようなビッとした感じというか、ある種の緊張感があっていいと思うんです。このセットアップを着るときには、家の中でもぜひオールバックで(笑)。

DVDやビデオの入手は難しいかもしれませんが、もし入手できたら『ブラッド〜』はぜひ観てほしいですね。特にオーシャンズ世代の人たちに。今現在有名になっている俳優も何人か出ていますし、ストーリーも十分楽しめると思います。

そしてメキシコ系アメリカ人たちの、コミュニティの絆、近隣に住む者同士の絆を大事にするカルチャーがきちんと描かれています。こんな時代に、絆を尊ぶ彼らの姿を改めて見ると、何か考えさせられるものがありますね。

渡辺真史●1971年、東京都生まれ。モデル、アパレルブランド勤務を経て、2004年に自身のブランド、ベドウィン & ザ ハートブレイカーズを設立。趣味は長く道場に通って練習を続けている柔道、キックボクシング、拳闘。2児の父。

 

鈴木泰之=写真 加瀬友重=文

# ベドウィン & ザ ハートブレイカーズ# ルームウェア# 映画# 渡辺真史
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