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2020.06.22

ファッション

高機能素材の一等星「ゴアテックス」が石から作られてるってホント?

みんな大好き、ゴアテックス。だけどその実、詳しいところはよく知らなかったりする。高機能素材が数多ある中で、なぜこれほど普及し、支持されたのか。
その真価を最新ウェアとともに見ていく本企画。まずはそのテクノロジーの原点についてお話ししよう。
 

ゴアテックス素材の「始まりと歴史」

カーハート WIPのジャケット「ゴアテックス インフィニアム ウィンドストッパー ファブリック」。
3万4000円/カーハート WIP(カーハート WIP ストア トーキョー 03-3402-9810)
「カーハート WIP」のジャケット
風をシャットアウトしつつ、通気性は確保する、3層構造の「ゴアテックス インフィニアム ウィンドストッパー ファブリック」。カモフラ柄のポリエステルシェルでミリタリーテイストを強めたプルオーバージャケット、大きめで着たいところ。
その成り立ちを紐解く前に、多くの人が勘違いしがちな部分に触れておくと、ゴアテックスというのはテクノロジーの呼称であって、特定の生地や素材を示したものではない。表地はナイロンやポリエステルがポピュラーだが、コットンやウールの場合もあるのだ。
いわゆる「ゴアテックス ファブリクス」と呼ばれるのは、そうした素材の表地と裏地に「ゴアテックス メンブレン」という特殊なフィルムを圧着したものを指す。
ではこのメンブレン、何からできているのかというと、なんと石なのだ。
フッ素樹脂の原料の蛍石。加熱すると発光するのがその名の由来。PTFEの最も身近な使用例がフライパンで、フッ素樹脂加工とはこのポリマーでコーティングすることを指す。
蛍石と呼ばれるこの鉱物はフッ素樹脂の原料として知られ、ゴアテックス素材を開発したゴア社の創業者、ビル・ゴアは、フッ素樹脂の合成ポリマー(PTFE)を初めて発見した米国の科学メーカー、デュポン社でキャリアを積んだ人物だった。
独立したビルは1958年、妻のヴィーヴとともにゴア社を立ち上げ、彼らの息子ボブ・ゴアが’69年に先のPTFEを延伸加工してフィルム状にする技術を確立。それによって水を通さず湿気だけ通すという多孔質構造のメンブレンが出来上がり、’76年、今はなきアウトドアブランドのアーリーウィンタースによって衣服の素材として初採用された。
以降、この画期的なテクノロジーは急速に普及していくワケだが、シーンの多様化に伴い、軽さが重要視されたり、強度が求められたりとニーズにも幅が出てきた。我々が日頃目にする「ゴアテックス ○○」というバリエーションは、いずれもそうした背景から誕生したものだ。


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