サステイナブルな物作りは、今や当然の取り組みへと変貌しつつある。国連サミットが採択したSDGs(持続可能な開発目標)へのコミットメントを、多くの先進国が示している以上当然の潮流だろう。取り組み自体は褒められるべきものだが、言葉のみを独り歩きさせては、いずれユーザーの心が離れかねない。
その懸念に抗うのが、ヘルノの新ライン「グローブ」だ。
使用する素材は、日本が誇る小松マテーレが開発した「オニベジ」。玉ねぎの外皮に含まれるケルセチンという成分を媒介に、天然色素で着色を施した環境配慮型の合繊素材だ。
こちらのコートにおいては、ボディのリサイクルナイロンでその技術を採用。天然着色&リサイクル素材というサステイナブル2点使いだ。着色に使用するのは、イエローなら玉ねぎ、グレーなら竹炭、ネイビーならインディゴ、グリーンならオリーブといった具合で、それらアイコンが裏地のタグに描かれており、なんとも愛らしい。
ヘルノの取り組みの主眼は、まさにそこ。サステイナブルを謳うのはいいが、アイテムが魅力的でなければ普及していかないだろう。この観点を重視するあたりはさすが。前述のタグだけでなく、美しい発色と洗練のデザイン、シャカッとした軽快な着心地など、まずは「欲しい」と思わせるインターフェイスを備えている。
手に取ったアイテムが、実はサステイナブルだった。それにより、自然と地球に優しくなれるという狙い。押しつけがましくない姿勢にもまた、惚れてしまう。
清水健吾=写真 来田拓也=スタイリング 髙村将司=文