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2020.01.20

ファッション

セリーヌ流アメカジは「今まで感じたことのない懐かしい気分」

レタリング、いわゆるロゴものはアメカジ服における定番デザインのひとつだ。英字のワッペンを貼り付けたスタジャンやカレッジTシャツなどは、その典型といえよう。
こちらのアイテムのレタリングも一見アメカジ風。でもやっぱり、どこか雰囲気が違う。もっとずっとスマートで洗練されているのだ。その理由の第一は、エディ・スリマン率いるセリーヌの最新作であるということ。
セリーヌ流アメカジ。ブルゾン1型、Tシャツ4型、スウェット2型、ニット1型で展開。
このシリーズはブルゾン1型、Tシャツ4型、スウェット2型、ニット1型で展開。小物はスニーカー、財布、カゴバッグを用意。いずれもレタリングそのものを活かすため、極力シンプルなデザインに抑えられている。Tシャツ5万4000円、ジャケット34万円、スニーカー6万2000円[すべて予価]/セリーヌ ジャパン 03-5414-1401
サテン地のブルゾン、アンダーシャツ風のTシャツ、キャンバススニーカー。レトロなようで、いずれもスリムシルエット&都会的デザインに仕上がっている。色選びもどこかクリーンな雰囲気が漂う。
そして第二の理由として考えられるのが、このレタリングがアート作品に由来するものだということ。右のブルゾンの文字を直訳すれば「今まで感じたことのない懐かしい気分」。Tシャツのほうは「史上最悪の僕の敵」。スニーカーは「どこに連れて行かれるか、まだわからない」。ちょっとした皮肉を感じさせる、何とも詩的な言葉だと思う。これらの言葉はニューヨーク在住のアーティスト、デイビッド・クラマーによるもの。
これらの言葉を紡いだNYのアーティスト、デイビッド・クラマー。
これらの言葉を紡いだNYのアーティスト、デイビッド・クラマー。1960〜’70年代の広告や雑誌からインスピレーションを得て現代アートを制作している。 © Brian Ach
本来は彼が描いたアートワークに合わせて、多彩なフォントデザインで配置されているものだ。しかしその言葉を、あえて無個性なフォントで服に転用したところがエディ・スリマン流の「ミニマル」なのだと思う。
ま、そんな小難しい理屈をつけずとも、この服は文句なしにスタイリッシュ。いつもと違う“セリーヌ流アメカジ”を、新鮮な気分で楽しんでもらいたい。
 
清水健吾=写真 来田拓也=スタイリング 加瀬友重=文


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