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2019.11.04

ファッション

エルメスからダウンジャケットが誕生。シガールカラーが個性をブーストする

エルメスのメンズ部門でアーティスティック・ディレクターを務めるヴェロニク・ニシャニアン。1988年から老舗を支え続け、在任30年を超えた彼女が、今までダウンジャケットという秋冬必携のアイテムを手掛けてこなかったのは意外だったが、ついに2019年コレクションラインにて初めて世に送り出した。
シーズンテーマである「コスモス(=宇宙)」を、メタリックなライニングでしっかり取り入れているが、あくまで裏地で、強すぎる主張はない。表面はシガール(葉巻)カラーで、飽きることなく長年着続けられそうな仕上がりだ。流行を追いかけることなく、自分の個性を表現して生きている人のために服を作り続けてきた彼女らしく、カジュアルな趣ながら、シックでいつまでも愛せそうなデザインにまとまっている。
エルメスのダウンジャケット
光沢感のあるライニングは、今季のキーテーマのひとつである宇宙をイメージし、レトロな未来感を表現したキルティング仕様。シェルのシックなシガール(葉巻)カラーとのコントラストが美しい。ハンドウォーマーを設けるなど、実用性も考えられた至極の一着だ。ダウンジャケット64万2000円、シャツ10万1000円、カットソー5万円、パンツ12万円/すべてエルメス(エルメスジャポン 03-3569-3300)
エルメスの手掛ける服は、決してこれ見よがしではない。パッと見ではどこのものかわからない、静かな服かもしれない。ただ、服に触れてみて、袖を通した瞬間、その高い品質と、着心地の素晴らしさ、デザインのユニークさに感動するのだ。
ちなみに今年はアポロ11号が月に降り立ってからちょうど50年と知っている人も多いはず。だが、あの歴史的瞬間と同時代を生きた人たちの感動や興奮は、想像が及ばないだろう。このダウンの感動に出会えるのも今、手にした人だけと考えると、我々はなんと幸福な時代に生まれたのだろう!と言っても大げさではないんじゃないかな。
だからこそ手を伸ばさないという選択肢はないと思うのだ。
 
清水健吾=写真 来田拓也=スタイリング 谷中龍太郎=文


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