普段ばきできる1本から博物館級のお宝まで、ヴィンテージデニムの価値(=お値段)はピンからキリまで。では、そのお宝のなかでも過去最高をマークしたモデル、そしてその金額は!? なかなか聞くに聞けない「今までいちばん高かったデニム」の話。多くのヴィンテージデニムを取り扱っている古着屋「ベルベルジン」のデニムアドバイザー、藤原裕さんにズバリ聞いてみた。 第1回:「ヴィンテージデニムの値段の推移と景気の関係」を読む。 藤原 裕(ふじはらゆたか)●1977年、高知県生まれ。原宿の人気古着ショップ「ベルベルジン」のディレクターを務める。豊富なヴィンテージの知識をベースに、ヴィンテージデニムアドバイザーとして、他ブランドとのコラボなども行う。 2015年3月にリーバイスの501XXの歴史と51本のヴィンテージジーンズの写真や資料を収録した書籍『THE 501 XX A COLLECTION OF VINTAGE JEANS』を上梓。──ブームの頃に100万、200万円なんて価格のものが雑誌の誌面を賑わせたおかげで僕たちも“抗体”がついていますが、実際、今まででもっとも高値で取引されたデニムって何ですか? 藤原 サンフランシスコのリーバイス本社のアーカイブに所蔵されている最初期のモデル(8年前に一度日本でもお披露目された)には何万ドルもの価値があると言われていますね。それはあくまで聞いた話なので、ここでは僕の周囲で実際に「動いたモノ」の話をしましょう。 昨年監修させていただいた、501XXの本*1 のトップを飾った、1890年代の通称“ワンポケ”と呼ばれる初期の501*2 です。その出合いは8年前でした。当時、話でしか聞いたことのなかった現物が出てきたときに、お店で取り扱いたいと所有者に値段交渉をしたのですが……。
*1 『THE 501 XX A COLLECTION OF VINTAGE JEANS』(ワールドフォトプレス刊)。こちらにも現在はプレ値がついている。 *2 ベルトを締める習慣のなかった時代のためベルトループを装備せず、サスペンダーボタンとシンチバックが付属。もっとも特徴的なのはアーキュエイトステッチを施したお馴染みのバックポケットが、右だけに取り付けられている点。