2019.10.16
FASHION

実は今の方が高値!? ヴィンテージデニムの値段の推移と景気の関係

オーシャンズが11月2日(土)に開催するデニムイベント「OCEANS DENIM CAMP(オーシャンズ デニム キャンプ 2019)」。“年に一度はデニムをはきかえよう”をスローガンに掲げたイベントまで、デニムにまつわるスペシャルコンテンツをお届けします!

社会現象にもなった’90年代の古着ブームも今は昔。当時の雑誌には目の玉が飛び出るほど高いプライスが付いていたが、その価値や価格はどう変動したのだろうか?

日々ヴィンテージデニムに携わる原宿の人気古着ショップ「ベルベルジン」のデニムアドバイザーで、「OCEANS DENIM CAMP」のトークショーにも登壇していただく藤原裕さんに最新のヴィンテージデニム事情を聞いた。

藤原 裕(ふじはらゆたか)●1977年、高知県生まれ。原宿の人気古着ショップ「ベルベルジン」のディレクターを務める。豊富なヴィンテージの知識をベースに、ヴィンテージデニムアドバイザーとして、他ブランドとのコラボなども行う。 2015年3月にリーバイスの501XXの歴史と51本のヴィンテージジーンズの写真や資料を収録した書籍『THE 501 XX A COLLECTION OF VINTAGE JEANS』を上梓。

──印象としてはブームが終焉を迎えて、さらにリーマンショックなどを経たことで価格が下がっているんじゃないかと、願望も含めて思うのですが。

藤原 正直言って今の方が高いですね(笑)。古着ブームだった’95~’97年頃はレザーパッチモデルで、そこそこ色の濃いXX(ダブルエックス)*1 が100万円、と高かった印象がありますが、当時はXXのヴィンテージをはいているだけでカッコいいと言われていた時代。

みんなが欲しがっていたレザーパッチモデルのXXはリアルに売れていたこともあって、それなりの値段が付いていました。ジーンズとしてデザインが完成された戦後のXXに対して、ワークウェアとしての要素が強い、戦前の古い年代のバックルバックモデル*2 などは当時から希少性の高いヴィンテージとしては認識されていましたが、そこの年代のデニムを欲しがる層っていうのは、実はあまりいなかったんです。

*1 リーバイス最高峰の品番“501XX”の’50年代中期までのモノで、右後ろのパッチがレザー製だったモデル。激しい縮みや移染などの問題があり、のちに強度のある紙パッチに変更される。

*2 戦前のパンツを象徴するバックルバック(ベルトが普及する以前のディテール。サスペンダーで吊り、シンチでサイズを微調整した)モデル。第2次大戦の物資統制を機に廃止された。

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──当時の感覚を思い返してみると、バックルバックは確かにメジャーな存在ではありませんでしたね。情報量も今より少なかった?

藤原 深く掘り下げていく日本人マニアの方々が増えたおかげで、あの当時保有されていた情報に比べて、より細かく分類されるようになりました。

あのブームがあったからこそ出てきた未発見の現物、それを裏付ける当時のカタログや生産指示書などの紙資料……それらによって歴史が解明されたことで広範囲にわたってヴィンテージデニムの価値が見直され、日本人のヴィンテージデニムに対する造詣をさらに深化させました。

いまや戦前から20世紀初頭、はたまた19世紀末までヴィンテージの守備範囲は広がっています。

──価格の変動は、具体的にどれくらいの差がありましたか?

藤原 たとえば僕が扱ったなかでいちばんの高値を記録したのは、最近の話ですが「501XX」の1922年モデルのデットストックで750万円でした。それと同じものをあの80年代後半に買った方の話によると、400万円だったそうです。実に2倍近くに価値が上がってしまっているんですね。

──最近、藤原さんの露出が増えているじゃないですか。ということは、もしかしてヴィンテージデニムが今また盛り上がっている?

藤原 ズバリその通りだと思います。その要因は古着ブームの頃にこぞって買い求めていた方々が一回落ち着いて、当時は高くて買えなかった次の世代である僕らが30〜40代になった今、やっと買えるようなったというのが大きいでしょうね。

またXXの価値が高騰して、何本も所有することができなくなってしまった今、ファッションとして遊べる年代・コンディション・価格帯の「ビッグE *3」や「66 *4」が注目されていますね。

*3 1960年代後半~1973年頃のモノ。ヒップポケットに縫われた赤タブの“LEVI’S”の“E=イー”表記が大文字で、1973年以降は小文字の“e”表記となる。

*4 通称66(ロクロク)。セルヴィッジデニムを使った最後のヴィンテージと呼ばれる。一般的に’73年頃から前期、’78~’80年代中頃の後期に分類される。’66年製ではない。

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──最後に今、そしてこれからのヴィンテージデニムを取り巻く環境は、どう変わっていくでしょうか?

藤原 すでに現在起こっている現象ですが、バイクや車、時計全般のヴィンテージの価値がどんどん上がって、その価値が世界規模に広がっていることでしょう。

最近ではタイやマレーシアといった景気のいい外国の方々が、アメリカより日本にレアでコンディションの良いヴィンテージデニムがあることを知って買いに来ることも多くなりました。

SNSによる情報の広がりも要因でしょう。かつてヴィンテージデニムは日本だけで盛り上がっていた現象で、相場も日本が作ってきましたが、今や価格も価値も世界共通になってきた、と言えますね。


藤原さんに教えてもらった、ヴィンテージデニムの今。さらに掘り下げると……と話は尽きないが、つづきは11月2日(土)、「OCEANS DENIM CAMP」での藤原さんのトークショーにて。


志賀シュンスケ=写真 實川治德=取材・文

# リーバイス# ヴィンテージ# デニム# デニムキャンプ# ベルベルジン
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