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2019.10.13

ファッション

ジョルジオ アルマーニの「ユルいきれいめ」。キーワードは“アンコン”

細身な服=きれいめ。そんな方程式が常識だった世を生きた大人にとって、「ユルいきれいめ」な服は歓天喜地、まさにカラダも心も喜ぶ思いだろう。
自然体を是とする現在の潮流が生まれるはるか前、まだカッチリとした装飾的なファッションの全盛期。それを尻目に、力の抜けた洒脱さを追い求めた気鋭デザイナーたち。彼らが描いていたビジョンとは?

男らしさ追求の到達点はワイド&シックなパンツだった

男らしさ追求の到達点はワイド&シックなパンツだった/ジョルジオ アルマーニ
パンツ8万8000円、ジャケット52万円、Tシャツ3万5000円、スニーカー8万7000円/すべてジョルジオ アルマーニ(ジョルジオ アルマーニ ジャパン 03-6274-7070)
今ではオン・オフ両方で、大人の装いの重要なキーワードとなった“アンコン”というフレーズ。そんな言い回しが定着するはるか以前、’80年代から、アンコンストラクテッド、つまり非構築的なテーラリングを追求したのがジョルジオ・アルマーニだ。
ジャケットから窮屈なパッドを排し、着心地向上を果たすべく生地の新たな混紡や織り方まで追求する。そんな彼の姿勢は、パンツにも顕著に表れている。腰回りにゆとりがあり、ドレープを描きながら裾にかけてテーパードする今日主流のシルエットも、やはり先駆けはこのブランド作。
2012年秋冬のランウェイ。
「(服づくりで最も重んじるのは)スタイルの一貫性です。奇をてらうことは私の美意識にまったくありません」という言葉どおり、シンプルで洗練されたボトムスは、男らしくも力が抜けていて、時代を超えて支持される普遍性がある。
2009年秋冬のランウェイ。時が経ってもシルエットに古くささがまったくないのがスゴイ。
「私のメッセージは、あくまでもジャケット、スカート、パンツに込められているんです」。かつてのインタビューで、そう語ったモードの重鎮。その美学、大人になった今なら我々にもきっと実感できるはず。


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