されど、Tシャツ。 Vol.4
2019.08.04
FASHION

タンスの肥やしがお宝に? 昔着ていたバンドTの価値を見分ける3つのポイント

されど、Tシャツ。●これまで何枚着てきたか、Tシャツ。服としては何よりシンプルなつくり、Tシャツ。理想の一枚に出会ったと思ってもすぐに次が欲しくなる、Tシャツ。されどで探す、今年いちばんの、Tシャツ。

今、Tシャツのヴィンテージ市場が賑わっている。その急先鋒が音楽系Tシャツ。ニルヴァーナ、ソニック・ユース、ビョークといった、我々の青春アーティストのTシャツも今じゃびっくりプライスだ。そういえば、ピグスティのポップアップショップに出品されていたソニック・ユースのTシャツには、4万円近い値がついていたっけ。

 門畑明男さん●1940〜70年代のアメリカンヴィンテージウェアをラインナップするフェイクアルファのバイヤー。
門畑明男さん●アメリカンヴィンテージウェアを扱う名店「フェイクアルファ」のバイヤー。古着と同じく音楽も好きで、ニルヴァーナのTシャツにフォーカスしたビジュアルブック『HELLOH?』を出版している。

同時に、こんな人もいるはずだ。「あれ? 実家の押し入れに眠ってる気がするぞ」。ならば、これから紹介するチェック項目の確認を。

果たして今、どんなTシャツに価値がある? ニルヴァーナのTシャツ本を手掛けたヴィンテージショップ「フェイクアルファ」の門畑明男さんに、その見分け方を教えてもらった。

 

チェックポイント① 【素材】で年代を把握せよ!

—最近のヴィンテージTシャツ・ブーム、すごいですね。特に音楽系。

門畑 きてますね〜。ほんの10年ほど前は、まだ日本でも大半は3000〜5000円くらいで売られていて、アメリカでも10ドル程度でバイイングできましたけどね。

—90年代のミュージシャンも人気ありますよね。

門畑 むしろ今は、そちらのほうがアツいかもしれません。90年代のTシャツって全部グラフィックがいいんですよ。それで人気が出てるっていうのもあると思います。

—同じグラフィックなら、価値はすべて同じ?

門畑 いや、違います。ひとつは生地で変わりますね。

—と言うと?

門畑 例えば、100%コットンか、ポリエステル混かはひとつの目安になります。ポリ混は70年代半ばくらいから増えてきて、80年代はほとんどポリ混になります。90年代に入るとまた100%コットンに戻るんですけどね。ラモーンズのこちらの2枚は、違いがわかりやすいかもしれません。

ラモーンズのアーティディレクター、アルチューロ・ベガによる、ベストアルバムのジャケットデザイン。
ラモーンズのアートディレクター、アルチューロ・ベガによるベストアルバムのジャケットデザインをプリントした2枚。[右]1万9800円、[左]2万9800円/ともにフェイクアルファ 03-3404-0168

—左はガッシリしていて、右はテロッとしてる。

門畑 そうです。左が90年代製で、100%コットン。右が80年代製で、ポリ混です。80年代以降では、同じようなデザインで両方存在する場合がありますが、今は100%コットンの方が人気はあります。90年代はとにかく生地が肉厚でパリッとしていて、それより前は薄手。そのあたりが第一のチェックポイントになると思います。

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チェックポイント②【タグ】から得る素材の確証

—見た目や肌触りでなんとなく見当はついても、確証は持てないですね。

門畑 80年代半ばには素材の記載が義務付けられているので、必ずどこかに書かれていますよ。いちばんのヒントはタグです。ほら、このように「100% COTTON」ってデカデカと。

—ホントだ!

門畑 あとはタグの形式でしょうか。

—形式?

門畑 はい。80年代はペラっとした一枚タグ(写真上参照)が多く、90年代になると、内側に輪っかができる“まわし”(写真下参照)になるんです。もちろん全部ではないですけどね。

—なるほど。その後は?

門畑 90年代の後半くらいから2枚タグに。1枚目にブランドネームを入れ、下に重ねたタグに素材や製造場所などを記載したものを縫い付けていることが多いですね。そして2000年代初頭にはタグがなくなり、生地にそのままプリントするようなブランドも増えていきます。

スクリーンスターズの黒タグ。
スクリーンスターズの黒タグ。まわしタイプで、ポリ混ボディ。これは90年代のものだとわかる。

—ブランドといえば、Tシャツのボディのメーカーも気にした方がいいですか?

門畑 そうですね。90年代のバンドTでいえばジャイアント、ヘインズ、アンビル、ブロッカムあたりが四傑。80年代から90年代の移行期であればステットマン、80年代だとスクリーンスターズが有名ですね。スクリーンスターズも90年代に入ると白タグから黒タグになるので、このあたりも指標になると思います。

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チェックポイント③【ステッチ】が握る重大なカギ

90年代半ば以前は「シングルステッチ」だった。

—ときどき、タグがなかったり、洗いすぎて白くなってるタグありません?

門畑 ありますね。そういうときは、袖のステッチを見てください。これ、一本のステッチで縫われていますよね?

—はい。

門畑 今のTシャツは、強度なども考えてダブルステッチが一般的で、90年代半ばから徐々に主流になり始めるんです。だから、シングルだと“それ以前”。つまり、ヴィンテージの価値としては高くなる。

今、主流の「ダブルステッチ」。

—なるほど。シングルだと90年代半ば以前だという証拠。

門畑 これは裾も同じことが言えます。ちなみに、袖がシングル、裾がダブルという場合もあって、これも一定の価値がありますよ。

—素材、タグ、ステッチという3つのポイントを総合的に見て、価値を見極めると。

門畑 そうです。最近はヴィンテージライクに作っているボディも多いので、この3点は必ずチェックします。そのうえで、ヴィンテージ風のものではないと判断できれば、それなりの価値を見いだせるのです。

 

バンドTを長年見てきたプロによる、価値あるヴィンテージミュージックTシャツの見分け方。大きなポイントは、素材、ステッチ、タグという3点だった。

お盆で帰省した際にでも、今なお色褪せない青春の一枚をタンスから掘り出してもいいかもよ。

 

[話を聞いた店]
フェイクアルファ
住所:東京都渋谷区神宮前1-8-21
電話:03-3404-0168
営業:12:00〜20:00 無休

菊地 亮=取材・文

# Tシャツ# ヴィンテージ# バンドT
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