されど、Tシャツ。●これまで何枚着てきたか、Tシャツ。服としては何よりシンプルなつくり、Tシャツ。理想の一枚に出会ったと思ってもすぐに次が欲しくなる、Tシャツ。されどで探す、今年いちばんの、Tシャツ。
Tシャツが好きすぎてTシャツの本を出してしまう人たちのマイベストTは、我々のTシャツ選びにおける羅針盤になり得るはず。
今回話を聞いたのは、稀少なTシャツばかりを収録した書籍『the T’s』を発刊した大阪アメリカ村のヴィンテージショップ「ピグスティ」でバイヤーを務める内田隼一さん。「最近、体がワガママになってきた」という36歳の彼が選ぶマイベストTシャツとは?
内田隼一さん●大阪の人気古着店「ピグスティ」幹部。人生で初めて買った古着はチャンピオンのフットボールTシャツ。気になる手前の招き猫Tの正体は後半で!Tシャツ本を出した店の男が、この日着ていたTシャツは?
ー『The T’s』に載っているヴィンテージTシャツはどうやって集めたんですか?内田 稀少なTシャツを“売っておしまい”にしてはもったいないから、10年くらい前から「ピグスティ」ではアーカイブ化してるんです。始まりは、社長が「これは貴重やからもう売らへん!」って1930年代のアンダーウェアのTシャツを店頭から引いた一枚なんですけど、それ以来Tシャツのアーカイブ化が続いていて、気付いたらえらい数になってました。
『The T’s』5800円/常時1000点をストックする大阪・アメ村の古着店「ピグスティ」による初の書籍。ジャンルにとらわれることなくTシャツの歴史を俯瞰で見た貴重な一冊。眺めているだけで楽しくなる。ー今、どのくらいあるんですか?内田 400枚くらいですかね。このまま保管しておけば資料としての価値は当然上がっていくんですが、数が増えると同時にみんなに見てもらえるようにしてもいいのでは? という声も出始めて。店のオープン20周年という節目に書籍化しました。
ーそれがこの『The T’s』。載せるTシャツを決めるの大変そう……。内田 そりゃ、もう……みんな思い入れもありますしね。同時に、時系列で並べるか、カテゴリーで固めていくかといった編集も悩みました。資料としては時系列、でも、見て楽しいのはカテゴリー。どうする? みたいな。
ー最終的には?内田 カテゴリーでまとめる方向で落ち着きました。スポーツ系とか音楽系、映画など、スタッフもそれぞれ得意分野があるので意見を出し合いながら作ったんですが、みんな言いたい放題やったな……。
ーちなみに内田さんもTシャツは好きなんですよね?内田 もちろん! ヴィンテージばかり100枚くらい持ってます。
ーひゃ、ひゃくまい!内田 それでも減ったんですけどね。後輩に譲ったりして。
—どんなTシャツが好みなんですか?内田 昔は70年代のテロッとしたボディのをジャストで着るのが好きでしたが、今は体がワガママになっちゃって……少しゆったり着られるものを選んでます。
ーデザインの好みは?内田 アート系が好きですね。
ーたとえば?内田 有名な写真家のプリントものも好きですけど、個人的にはアーティストが有名とか無名とかはあまり関係なくて。なんて言うんやろ、無名でもグッとくるっていうか、第六感に響くっていうか……。
ー今日着ているのはハーブ・リッツ。内田 はい。ポートレイトで有名なカリフォルニアの大物写真家です。これは彼のBACK FLIPという作品をバックプリントにしたもの。90年代のTシャツですね。これも第六感にビビッときて愛用中。
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