「はいていない」級に気持ちいい。大人のためのサマパン6選
40代、夏。僕らの欲望に終わりはない。温度と湿度が高まりゆくこれからの時季、どうしてもパンツに求めてしまうのは、心地良さと格好良さのグッドバランスだ。ビジュアルを求めて窮屈になるのはごめんだし、ストレスフリーを求めて「はかない」選択もない(当然だ!)。
そんな僕らが、今本当にはきたくなるサマーパンツを考えてみた。「はいていない」級なら気になるよね?
なんなら、ドローコードは結ばなくったっていいんでしょ?

サマパンって束縛嫌い
ベルトで縛るウエスト回り。パンツが与える窮屈感の多くを占めるのが、これだ。その点でドローコードとギャザーによって自在に調整ができる「イージーウエスト」仕様は、この束縛から僕ら(寄る年波の腹部?)を解放してくれる。
この“ラルフ”のパンツがいいのは、センタークリースがステッチされていて、一定の清潔感と折り目正しさをキープしてくれるところ。もちろんシアサッカー素材が快適さに拍車をかけてくれるのは、言うまでもないけれどね。
いつのまにか、脚そのものが風になびいているような感覚に

サマパンって脚が泳ぐ
砂浜を歩く。脚を一歩前に出すたびに風をはらんだ布地がたなびく。このシルク100%のテロテロパンツをはくと、まるでこの中を脚が泳いでいるかのような錯覚を体験できる。
哲学者、鷲田清一は著書『悲鳴をあげる身体』において、「服のなか、そこは<わたし>のなか、秘せられてあるべきわたしの内部」と、衣服と自分の不可分性を述べているが、まさに歩を進めるごとに、このパンツが服なのか自分の脚なのかわからなくなる。その心地良さ。パンツ、はいてたっけ? という一体感。
正統な流儀に則ったライトデニムならウィンウィン?

サマパンって暑くない
夏にデニムがはけない? よくわかる。かいた汗を吸って重くなったデニムが、べっとりと脚にまとわり付くその不快感ときたら……ね。ならば、このリーバイス「501XX」はどうだろう。一般的なヴィンテージは13.5や14オンスが相場だが、これは1890年代の9オンスデニムをそっくり再現したものだという。
当時、最高級と謳われたドライな風合いが、結果は夏にうれしいライトデニムだったなんてね。厚くなくて暑くない、それでいてデニム好きには胸熱! なんて、最高じゃないの。
古きを訪ねてなお新鮮なリネンパンツ、
ワードローブにないとは言わせませんよ

サマパンっていい触感
夏はリネン。それは和装から洋装へ移った明治を経由して今に続く、もはや慣習のようなものだ。余分な体温を奪い速やかに放散する熱伝導性、衣服内を快適に保つ吸汗速乾性、強度のある繊維のドライな触感。加えて、光沢とシワ、織りムラがもたらす見た目の涼感は、まさに天然の高機能素材。令和の時代を迎えた今もなお、男の夏服に君臨するに十分だ。
何年先も長く着続けられる服作りで人気のブランド、ヤエカのリネンパンツからも、永遠に古びないスタンダードな魅力が溢れる。まだ、持ってない?ならばコレでお試しを。
トレンドのディテールでそのまま夏を堪能できるうれしさを

サマパンって流行中!?
近頃、よく見かけるタック入りのパンツ。これを夏に、とはいかなることか。タックに織り込まれた生地量は、ゆるやかな腰回りの証し。特に腿周辺は、肌との接触面積が減るために不快感が抑えられるのだ。トレンド感を味わいつつ夏に心地良いだなんて願ったりかなったり。アクネ ストゥディオズの本作は、シャリ感のある高密度のポプリン素材を採用し、軽量でドライタッチ。時代のシルエットにプラスアルファを与えてくれるのだ。
陽射しを味方にする夏柄の存在感に釘づけになる

サマパンって華もある
インドで生まれたといわれるマドラスチェックは、トラッドな夏柄の定番だ。灼熱のかの地を彷彿させる眩い配色は強い陽射しの下で映え、その華やかさを印象づける。このシーズンになると無性に着たくなるのは、夏を夏らしく感じたい気持ちの表れなのでは、と思うのだ(トラッドな柄であるのは言うまでもなく、ね)。
しかも、ノンネイティブのこちらはレーヨン×ポリエステルの軽量速乾素材を採用。快適性は担保してくれているから、涼しい顔をして炎天下を闊歩できるのだ。
川田有二=写真 菊池陽之介=スタイリング yoboon(coccina)=ヘアメイク 髙村将司、いくら直幸、谷中龍太郎、今野 塁、菊地 亮=文