進化しすぎたツァイスのレンズに驚愕! 〜種市暁、老眼鏡を買う その2〜
見るモノ変わるメガネの世界
迫りくる老眼、ブルーライトとの戦い。年齢や時代とともに気になることが増えてきた目とメガネにまつわるアレやコレ。正しい知識と選択で、自分の視界も他人の視線もガラッと変わる。見るモノ変わるメガネの世界、ご覧あれ。
オーシャンズでの連載「種カジのタネあかし」が人気の我らが“種さん”ことフリープランナーの種市 暁さん(46歳)。近いものが見えにくくなり、老眼を懸念して訪れたのが、東京・神宮前にあるドイツ発のアイウェアブランド、マイキータのショップ。
前回、老眼であればやはりメガネは早めに作ったほうが目のためにも良い、というマイキータの店長・高橋さんのアドバイスに従い、メガネを作ることに。

迷った挙句にフレームを決定した種さん。そして今回は、検眼。驚きのシステムと充実のサービスに、種さん、驚愕!
>「種市暁、老眼鏡を買う その1」(フレーム選び編)はコチラ
最新のマシンによるデータ解析&検眼を体験!
――さて高橋さん、フレーム選びのお次は何を?
高橋さん「検眼になりますが、種市さん、ご経験はありますか?」※以下敬称略
種市さん「いやぁ、学校や会社の定期検診で、片目を伏せてCの文字を読んでいった記憶だけしかないです。ずっといちばん下までバッチリでした。メガネショップでは初めてかも」※以下敬称略
――ずっと視力2.0なんですもんね。
高橋「ランドルト環ですね。現代は進化していまして、マシンによる検眼はもちろんなのですが、その前にレンズメーカーでもあるツァイス製のマシンで自動的に視覚のプロファイル情報をデータ化します。では、こちらに」

種市「今、何か起こりました?」
――あっという間でしたね。
高橋「このデータはメガネの度数決定の際に使用します。波面収差解析というのですが、人によって異なる、目の詳細な情報を分析することで、一人ひとりに合ったレンズを製作することができるんです」
種市「とにかく、僕の目にぴったりに合うということですね」
高橋「その通りです(笑)。通常は、フレームと瞳孔の距離や傾斜角、ソリ角(顔に対する反り具合)など、日本人の平均的なデータを元にして汎用性の高いレンズを採用するのですが、ツァイスの測定機器を使えば、個人に合わせて適正に設定ができます」
ーー規格の中で一番近いものを選ぶ。ではなくて、個人に合わせて調整してくれるんですね。
高橋「日本でも、このシステムを導入しているメガネ店は、それほど多くないと聞いています」
種市「へぇ、そんなにすごいんだ!」
高橋「では次に、検眼機のほうにどうぞ」

高橋「種市さん、やはり遠くはよく見えてらっしゃるんですが、目を楽にしてあげるために、少しだけ度を入れてもいいかもしれません。また、乱視も若干矯正したほうが近くが見えやすいかもしれませんね」
――精度が高いと細かな対応が可能というわけですね。
高橋「そうなんです。前回も軽く触れましたが、ツァイスの測定機器を用いることで、通常のメガネレンズの25倍の精度で度数調整が可能。通常は0.25単位の視力矯正の刻みを、0.01単位の刻みで調整できるということです。なので、目の負担にならない程度に、かるーく度を入れるということが可能なのです」
種市「いや、仮のレンズを入れて調整しただけでしたけど、これやばい予感します」
――やばい?
種市「怖い、コレ怖いわ〜。すっごくよく見える。見えるってこういうことなんですね!」

高橋「見える世界を知って初めて、今まで見えてなかったのか、と思われる方が多いですね」
――怖いんですか?
種市「怖いよ、だってこれは、快適過ぎて手放せなくなりそうな……」
実際のフレームを用いて、さらに目と顔の情報を取得
高橋「次は、ツァイスの『i.Terminal2』というもうひとつの機械で、実際のレンズと瞳孔の位置がどうなるかを測定していきます」

――ここで、実際のフレームを種さんにフィットさせた状態で、計測していくんですね。
高橋「はい。この作業は実際にお使いになるフレームで行います。種市さん、レンズの色は、どうしましょうか?」
種市「本当は、贅沢を言うと、すべてのレンズカラーをこのフレームに当て込んで、ひとつひとつ試して確認したいところなんですが……」
高橋「すみません。それはさすがに(笑)。ただし、レンズカラーが仕上がりイメージと違ったら、無料で作り直しいたしますので、ご安心ください」
一ーえ? 本当ですか?
高橋「はい、もちろん何度もではないですが、仕上がらないとわからないこともありますので。これは、マイキータの通常サービスとして提供させていただいています」
種市「さすがドイツらしいというか。ファッションブランドとのコラボレーションも多くて、スタイルを重視するマイキータさんらしいですね。感動しました。じゃあ、思い切ってこの山城新伍カラーに」
――ギャグが昭和ですよ、令和の時代に。
高橋「山城新伍、私もわかります」
一店長!(笑)
高橋「色は、マイキータオリジナルのグレーになります。では、フレームを顔に調整していきますね」

種市「こんな機械があるんですね」

高橋「先程のデータをもとに、レンズと黒目の焦点の位置を合わせます。また、目の動きの癖も参考にして、レンズのどのあたりに老眼の矯正を入れていくか、なども個人に合わせて変えることができるんです」
――ここまでやれるメガネ店はほとんどない気がします。
種市「ここまで細かく測って調整してくれたら、初めてでも安心ですよね」

――仕上がりは、どれくらいですか?
高橋「このデータをドイツに送って現地の職人が作業しますが、それでも2週間程度ですね。国内作業の場合は、10日くらいで仕上がります」
種市「早くないですか? スーツだって仕上がりませんよね」
――ドイツでの作業で2週間は早いです!
高橋「ひとまず、本日はこちらにて終了です」
種市「ありがとうございました! 完成が楽しみです」
すべてを決めて、いざドイツにレンズ発注を済ませた種さん。およそ2週間程度の完成を待つ。調整用レンズを初体験しただけで「見えすぎて怖い」との予感、そのメガネの仕上がりはどうなることか?
次回、感動の完結編は見逃し厳禁!
PROFILE
たねいちあきら●1972年生まれの46歳、東京下町出身。サーフィンを愛する海男。長年勤め上げたビームスを退社し、現在はフリーランスとしてブランドのコンサルティングやプロダクトのディレクションなどを手掛ける。連載中の「種カジのタネあかし」はコチラ!
種カジのこぼれ話満載のインスグラム@taneichiakiraも要チェック。
※ツァイス(カールツァイス)とは
カールツァイスは、精密光学のパイオニアとして、170年以上にわたり光学技術の分野をリードするドイツの世界的レンズメーカー。メガネから顕微鏡、医療機器やプラネタリウムまで、長年培った高度な知識と技術を活かし、高精度なレンズを提供し続ける。
www.zeiss.co.jp/vision-care
山本 大=写真 髙村将司=取材・文