2019.01.21
FASHION

薄くて軽い名作「マイクロ・パフ・フーディ」に詰まったパタゴニアの本気 

アウトドアウェアの中で名品と呼ばれるアウターは少なくないし、人気ブランドからもさまざまな高性能アウターがリリースされている。でも、我々大人がホントに欲しいのは、その背景もマチガイのない、本当に価値ある1着。

傑作と呼ばれるアイテムの真価を知ったとき、きっとそのアウターは心地良さだけでなく、高揚感も与えてくれるのだ。

パタゴニアの
「マイクロ・パフ・フーディ」

創設者のイヴォン・シュイナードが独学で鍛造を学び、クライミングギアの製造を始めたのが1957年のこと。それが現在のパタゴニアというブランドの前身だ。

それからちょうど60年が経った2017年に発売された「マイクロ・パフ・フーディ」というインサレーションジャケットは、その歴史と姿勢を表す、らしさ溢れるアイテムだ。

「メンズ・マイクロ・パフ・フーディ」3万7000円/パタゴニア 0800-8887-447
「メンズ・マイクロ・パフ・フーディ」3万7000円/パタゴニア 0800-8887-447

まずは基本となるアイテムの仕様だが、シェルは軽さと耐久性、防風性を併せ持った素材「パーテックス・クアンタム・リップストップ・ナイロン」。実はマイクロ・パフというのはかつてあったシリーズだが、ほかの画期的な機能に取って代わられる形となり、一時はカタログから消えていたもの。

そんなラインが再び復活することになった鍵が「プルマフィル」と呼ばれる、極細の繊維が絡まり合う新素材の誕生だ。

ダウンのような軽さと収納性、化繊ならではの耐水性を併せ持つこの素材によって性能の飛躍的な向上が可能となり、マイクロ・パフシリーズの復活に至ったワケだ。

「パタゴニアは、過酷な環境でもアウトドアを楽しむことを目的としたギアを造ってきた会社です。過酷な環境とは、極寒、強風、濡れなどさまざまな要因がありますが、マイクロ・パフはそんな環境下でも安定して高いパフォーマンスを発揮します。もともとは20年以上前の1996年に販売されたパフボール・ジャケットという製品からこのコンセプトは始まっており、マイクロ・パフは1つの到達点と言えます」(大堀さん、※以下カッコ内はすべて。)。

そう語るのは、パタゴニア日本支社で製品PRを担当する大堀泰祐さん。

「そもそもこのアイテムが発売されたのは2017年ですが、開発が始まったのはさらに10年前に遡ります。21人のフィールドテスターに4年間使用してもらい、フィードバックを受けて少しずつアップデートを重ね、製品化に至りました。遠征では弊社アンバサダーの登山家コリン・ヘイリーがMt.Hunterのノースバットレスのソロ登攀で使用しています。デザインは現在のアンバサダーやフィールドテスターのフィードバックを7年間受け続けた集大成です。製品コンセプトは“濡れても温かい” “ダウンと同様の保温性” “コンパクト性”。これは1996年のパフボール・ジャケットが販売された当時から目指してきたゴールなんです」。

さまざまな環境で行われたフィールドテスト。テストとは言え、本気の環境下での使用ばかり。もちろん、これらはそのほんの一部だ。

こうした開発秘話からも、いかにこのアイテムがブランドのフィロソフィーを体現したアイテムなのかがうかがえるはず。さらに、大堀さんはこう続ける。

「余談ですが、先のフィールドテストの際、テスターの9割はこのジャケットがダウンだと勘違いして使用していたそうです(笑)。個人的にも秋のクライミング、冬の富士山、厳冬期の穂高などで使っています。これ単体では厳冬期は寒いので、防寒アウターとセットにしています。その分シュラフなどを少し薄く軽いものにして、バランスを取っています。かなりコンパクトになるポケッタブル仕様で、クライミングで使用したとき、バックパックの雨蓋からこれを引っ張り出したら、パートナーは驚いていましたね」。

ちなみにこれだけコンパクトに圧縮されても、広げれば一瞬でふんわりとしたロフトを取り戻し、高機能ウェアでは不安になる洗濯での機能低下も、洗濯耐久テストでなんと288時間連続に耐えたというから、その性能に疑いの余地はナシ。

「無駄なポケットやステッチ、ゴム紐による調整機能など、“あれば便利だけど、なくてもいい”機能は不便にならないギリギリのラインで削っています。そのおかげでこのジャケットは最大のパフォーマンスを発揮できるんです。この無駄のなさ、そして一着で山から街までどんなシチュエーションにも使える多用途性がパタゴニアらしいなと感じています。季節、天候、登山からサーフィン、釣りまで幅広いアクティビティ、シチュエーションに対応してくれますよ」。

街中でも映えるミニマルデザインと暖かさだけでも十分魅力的な「マイクロ・パフ・フーディ」。しかしこんな話を聞くと、ついつい冒険心をくすぐられるのは男の性。

まずはその完成度を日常で実感し、好奇心が抑えられなくなったなら、海で、山で、実際に試してみるといい。きっと、このジャケットと、パタゴニアというブランドの奥行きが実感できるはずだから。


[取材協力]
パタゴニア
0800-8887-447

岡部東京=写真(静物) 今野 壘=編集・文

# パタゴニア# アウトドア# マイクロ・パフ・フーディ
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