今年でブランド生誕10周年を迎え、ますます勢いに乗るデンハム。そのアニバーサリーイヤーを飾るべく、名作がサプライズ復活を果たした。ファンから再登場を願う声がやまなかったクロスバック。ワークテイストが色濃い後ろ姿が特徴の、ブランドの“ウラの顔”は、次なる10年への期待感を増幅させる。
世の中の人々が忘れ得ないものを作る。それは、何かを熱狂的に愛する人のなせる業。デニム業界で、そんな人物を挙げるとしたら。
2008年にシグネチャーブランドを立ち上げた男、ジェイソン・デンハムなら異論はないだろう。ここでは、彼をチーフ・クリエイティブ・オフィサーといった肩書ではなく、親しみを込めてデニム職人と呼びたい。
そんな彼が特に愛情を注ぐモデルこそ、’12年発表のクロスバックである。モデル名の由来は、1840年代のオーバーオールからインスパイアされた背面のクロスデザイン。
そこに、脚のラインに沿ったキャロットシルエットを生む脚部の1枚布パターン、ウエストの逆三角形のドロップヨークなどのディテールを重ねた。
デンハム・ジャパンの根岸洋明社長は「数々のギミックを搭載した、ジェイソン・デンハムの挑戦ともいえるモデル。“ディス・イズ・デンハム”です」と評し、今もヘビロテする。特に日本のファンが多く、常に再登場が望まれ、17年に限定復刻が行われた。それは即完売。そしてブランド生誕10周年の今年、完全復活を果たしたのだ。
美しいスリムストレートで大人を魅了するモデル・レイザーとはまた違う、ワーク色の強い“ウラ”の代表作。「X」のクロスデザインはローマ数字で10を表す。その力強い存在感は、ブランドの次なる10年の躍進を暗示するかのようだ。
意匠の詰まった“オタクデニム”
CROSSBACK MIJ10V
ワーク色の強い意匠を豊富に詰め込むことから、ジェイソン・デンハム本人はあえて“オタクデニム”と呼ぶ。片脚を1枚布で作り、強度や動きやすさを高めたパターンワークも特長。
※本記事に掲載されている「CROSSBACK MIJ10V」について仕様変更があり、現在販売されているものは一部仕様が異なる部分がございます。
[問い合わせ]デンハム・ジャパン03-3496-1086www.denhamjapan.jp清水健吾=写真 星 光彦=スタイリング 國領磨人(NO-TECH)=文