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2020.06.30

かぞく

最近のジュニアアスリートが精神的に大人びている理由と懸念

子供のスポーツ
「子供のスポーツ新常識」とは……
最近のジュニアアスリートは、その実力もさることながら、精神的な成熟度も高い傾向にあります。例えば、インタビューや取材での受け答えなどを見ると、ひと昔前に比べて「しっかりしてるなあ」と感心する子が多いですよね。答えにくい質問をされても、理路整然かつ誠実に答えてしまいます。まさに大人顔負けです。
今回はこのような精神・メンタル面に関して、今と昔で何が違うのかを考えてみたいと思います。
 

スポーツ環境そのものがガラリと変化している

今から30年以上前、オーシャンズ世代の皆さんが少年時代の頃と現在では、当然スポーツを行う環境、特に競技としてのスポーツ環境に、大別して3つの変化がもたらされています。
まず、インターネット環境の拡大により、スポーツに関する情報をいつでもどこでも入手できるようになりました。全国各地で開催され大会や試合の結果はもとより、ジュニア選手と言えどその経歴や強豪校の練習方法なんかも、容易に検索できるのです。もちろん、自身のパフォーマンス向上に欠かせない、科学的・医学的知識なども学習することができるのは言うまでもありません。
これだけさまざまな情報が身近に感じられるようになれば、課題の発見や目標設定がしやすいし、それがより具体的にイメージできます。そうなると「なりたい選手像」を目指す意欲も高まりますし、「上には上がいる」と謙虚な姿勢を持ち続けることで、精神的な成長につながっていると考えられます。
次に、根拠のない威圧的指導や体罰が減少したことも要因でしょう。これは言い換えれば、「指導者の質」が大きく変わってきたことを意味します。日本に限らずですが、現在は世界的に見ても、コーチ・指導者の養成を重視する流れのなかで、ジュニアスポーツの現場でも指導者にライセンス所有を義務化している競技団体がほとんどです。
これにより、最新のスポーツ科学や心理学などの明確な裏付けをベースにした指導が広がります。すると子供たちは「なぜ自分は今この練習をするのか」をしっかりと理解できるようになり、より集中してトレーニングに取り組めるわけです。ただ漠然と「一生懸命やりなさい」では通用しなくなっているので、指導者の理不尽な指示に従う場面も激減しています。
最後に、ひと昔前に比べ、小学生の年代から国際大会や全国大会へ参加できる機会が増えてきたことが挙げられます。例えば、全国の実力ある子供たちで選抜チームが形成されたとしましょう。そこで練習はもちろん、合宿などを通して多くの時間をともに過ごすわけですが、これが現在では、単に競技のパフォーマンスを上げるだけのものではなくなっています。練習以外にも、勉強会や講習会で競技に対する理解を深めたり、集団の中でリーダーシップを発揮する訓練の場でもあるのです。また実際に、メディアトレーニングとして、インタビューや取材での受け答えなどの教育も実施されており、いちスポーツ選手としてSNS等の利用法を受講できる場合もあります。


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