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2021.07.10

密かに人気のロシア車「ラーダ ニーヴァ」。リセール価値も高いカワイイSUVの基本

SUV人気で続々と新型車が登場。選択肢が増えるのは嬉しいけど、最新の車はみんなスタイリッシュ。
そうじゃなくて、見た目も操作も武骨なヤツが欲しいんだよなぁ、という人に今密かな人気なのがロシア車。その代表となる車種のひとつが「ラーダ ニーヴァ(LADA NIVA)」だ。
ラーダ ニーヴァ
日本に正規インポーターはないが、自動車輸入業者によって20年ほど前から入ってきているラーダ ニーヴァ。今回は名古屋に本社を置き、自動車の輸入販売を行うオートリーゼンに話を聞いた。写真の「V LADA CLASSIC LUXE」は297万円〜。
ラーダはロシアを代表する自動車メーカー・アフトヴァズが展開するブランド。ニーヴァはロシア語で「耕作地」という意味で、農地でも自由に走り回れることからラーダ ニーヴァと名付けられたようだ。
オートリーゼンが販売するのは3ドア。本国にはかつて5ドアモデルもあったが、現在は販売を終了している。

デビュー以来ほぼ変わらない姿。ベースはフィアット

デビューは1977年。以来40年以上、大きな変更もなく、ずっとほぼ同じスタイルで作り続けられている。
実はベースがコンパクトカーのフィアット124。これにラーダ独自の4WDシステムや足回りを与えて、農地を駆け回るオフローダーに仕立てたというわけだ。
そのためサイズも小柄で、全長3720×全幅1680×全高1640mm(3ドアモデル)と、スズキのジムニーよりちょっと全長が長い程度。
オートリーゼンが販売している「V-LADA CLASSIC LUXE」の最新のインパネ周り。国産車でいう’90年代ライクなレトロな見た目だが、パワーウインドウやシートヒーター、パワーステアリングなどはしっかり備わる。
この手の古い4WDは梯子状のフレームにボディを載せるラダーフレーム構造が多いのだが、実はラーダ ニーヴァは現代の多くのSUVと同様、フレームとボディが一体型のモノコック構造。発売当時としてはかなり先進的だったのだ。
現行型のエンジンはゼネラルモーターズ(GM)製の1.7L。フルタイム4WDは副変速機でローレンジを選べたり、センターデフロック機能(前後輪を直結させて空転を防ぐ)もあるので悪路走破性もかなり高い。
トランスミッションは5速MTのみという潔さも車好きの心をくすぐる。

実はラーダ ニーヴァ、2000年からアフトヴァズとGMが提携して設立した会社で生産されていた。エンジンがGM製なのはその名残。しかしGMとの提携は2019年に解消され、この合弁会社はルノー・日産・三菱アライアンスの傘下になっている。

エアコン搭載車誕生という大躍進!

そんなバタバタな状況や、ヨーロッパの省エネ基準が高くなったこともあってラーダ ニーヴァはロシアからの輸出が極めて難しくなった。そこでオートリーゼンは、ウラジオストクにある協力工場で独自にラーダ ニーヴァの整備を行い、日本の保安基準適合の証明を取得して輸入を行っている。
そのため同社が扱うラーダ ニーヴァは、ウラジオストク(Vladivostok)の頭文字をとってV-LADAと呼ばれる。ちなみに本国では現在ニーヴァレジェンドという名称だ。
オートリーゼンが輸入している「V-LADA BLACK」はBLACKスチールホイールなどを備えたリミテッドエディション。
そして、日本への輸入やSUV人気はラーダ ニーヴァに大きな変化も及ぼす。
オートリーゼンの中島さんに聞くと「メーカー純正品のエアコンが初めて用意されました。これは大きな進歩です!」と言う。同社ではこのエアコンを備えたV-LADAの3ドアを輸入している。
この車にとっては、エアコンが付くだけでも大きな変化。40年以上も前の基本構造ゆえ、昔の車に慣れている街の修理工場ならたいていは直せるのも安心な点だという。
もちろん部品が必要ならオートリーゼンが手配してくれる。また同社のV-LADAにはエンジンやトランスミッションなど基幹部分に1年または2万kmの保証がつく。
「ラーダ ニーヴァはこれまで日本に300台以上が輸入されていますが、ほとんど中古車市場で見かけることはありません。あっても結構高いプライスが付けられていますよ」。
つまり手放す際のリセールバリューも高いってわけ。

ロシア製、40年以上ほぼ変わらない見た目と構造、MTオンリー、最近やっと純正エアコンが登場……。純正新車の状態でもまったく話題に事欠かないラーダ ニーヴァ。
これだけSUVが浸透した現代でも、街中、アウトドア問わず「何これ!?」と言われるなること間違いなしのSUVだ。
 
籠島康弘=文 オートリーゼン=取材協力


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