「感動の服」特集 Vol.29
2021.09.12
CAR

メルセデスの電気自動車・第2弾「EQA」が新時代に相応しい理由を6人の識者が解説

EQCに続く、100%電気自動車シリーズの第2弾となる「メルセデス・ベンツ EQA」。

電気モーターから発せられる力強さは必要十分。また曲線を用いたクーペのようなスタイリッシュさが特徴的なこの一台を、識者6人が徹底解説!

いよいよEV導入がリアルに!ベンツの電気自動車・第2弾が新時代にふさわしい理由

MERCEDES-BENZ EQA メルセデス・ベンツ EQA
コンパクトSUVのGLAをベースとしており、全長4465×全幅1835×全高1625cmと取り回しの良いサイズ感。プログレッシブラグジュアリーをデザインコンセプトとし、またモーターの配置場所を工夫するなど、独自設計で従来のBEVよりもさらに高い静粛性を実現させた。640万円〜。

新時代へのベストチョイス

実は最近、この車を契約したばかり。これまで10年間乗ってきた1994年式のGクラスからの乗り換えです。

西洋占星術によれば、今年からグレート・コンジャンクション「風の時代」だそう。つまり新時代にふさわしい車じゃないかな、という理由は、半分冗談で半分本当(笑)。

新しもの好きで、もともとEVには興味を持っていました。ただ、今回の買い替え候補には、ランドローバー ディフェンダーも視野に入っていたんです。子供が3人いるので、家族5人がストレスなく乗れる居住性が必須なので。

それでも、最終的にこの車を選んだ決め手は、やはりEVという点。自宅が戸建てなので充電設備の設置が可能、iPhoneのようにガジェット感覚で充電して乗れる車って一体どうだろう、というワクワク感に心が揺さぶられましたね。

ガソリンスタンドに行かなくていい生活なんて想像できますか?ライフスタイルが変わっていく期待感がすごい。サーフィンやスノーボードなど、外遊びは大体なんでもやるんですが、友人たちとの遊び旅行は、今後、充電のことも考えた計画になるのかなぁなんて考えると楽しみですね。

小さいかなと懸念した居住性については、試乗したら絶妙に快適な空間でしたし、主張が強すぎないシンプルな顔立ちは、ノーマルで乗りたい自分には、気負わず乗れていい感じ。と考えると、EQAは新時代にふさわしい車なんだなと改めて思います。

コリコアソシエーション代表
石塚光明
2011年に会社を設立。キャンブロ社の正規代理店やテーマパークの商品企画、アートと人とをつなぐディレクションなど、その守備範囲は多岐に及ぶ。「好き」を仕事にする自在なスタイル。

 

いよいよBEVがファーストカーに!?

メルセデスブランドのエントリーEVであるEQA。そのベースとなるのは同社のコンパクトSUVのGLAクラスです。サイズもほぼ同じで、ちょっと広い車幅を除けば街中での取り回しやすさも魅力でしょう。

でもそこに搭載するバッテリーは66.5kWhと車格のわりには大容量で、WLTCモードで422kmの航続距離を誇ります。節電を気にせずエアコンばんばんで乗っても300km級の航続距離は望めそう。ということは、ライフスタイル如何ではファーストカーとしての用途を託せるかもしれません。

EQAにはほかのメルセデスと同様、AI対話型ボイスコマンドシステムである「MBUX」も搭載されています。ボイスコマンドといえば低い認識率からくる余計なイライラを思い浮かべますが、メルセデスのこれは学習が進んだのか、暑いだの寒いだの吉野家に行きたいだの、ざっくりした投げかけにも的確に応答してくれるようになりました。

乗り味はEVならではの低重心で、地に根を張ったかのような安定感のなかに、メルセデスらしい鷹揚さも感じられるもの。当然ながら音も静かで、車格に見合わぬ上質さを感じさせてくれます。

弱点はバッテリーを敷き詰めるため後席床面が高くなり、大人だと膝が上がり気味の姿勢になってしまうことです。これは乗用車ベースのEVに共通する特徴ですが、小中学生くらいの体格ならば普通に寛げる着座感かなと思います。

自動車ライター
渡辺敏史
出版社で自動車/バイク雑誌の編集に携わったあと、独立。自動車誌での執筆量が非常に多いジャーナリストのひとり。車の評価基準は、市井の人の暮らしにとって、いいものかどうか。

 

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EV導入がリアルに感じる一台

「変態」と思われてもおかしくないほどの車好き(笑)。これまでも多種多様な車を所有しては手放したりして、現在は、各所に保管しつつ計5台ほど。

そんな中でもフルに活用しているのが、Gクラスとスマート ブラバスのカブリオ。Gクラスは3台目、スマートは2台目で、足かけ20年ほど愛用中です。僕の車選びのポイントは、いわば「唯一無二の存在感」。

そんななかでEQAは、そろそろ電気自動車が自分にとってリアリティのある存在になり始めていることを感じさせる一台。満充電時の航続距離が400km以上あるのは、安心ですね。

ただ、自分はインテリアスタイリストなので、家具の積載ができるサイズ感が必須。だから、実際に導入するとなると、Vクラス程度のEQが出たら、愛車のGクラスから乗り換えてしまうかも。

でも、それすら呑気に待っていられないほど、EQAには惹かれています。やはり、リモート会議全盛の時代、アイドリングなしで電気が使える。これは、非常に魅力的。ノートPC一台あれば、リース移動中に、空き時間を使ってミーティングができたりする。いわば移動オフィスになりますよね。

40代も半ばを過ぎましたが、いつまでもアーリーアダプターでありたい自分にとっては、この過渡期の時代に、いち早くEVを楽しんでみたい、そんな気分にさせる唯一無二の存在ですね。

インテリアスタイリスト
窪川勝哉
雑誌やTV、カタログなど、20年以上第一線で活躍中。大学講師も務める。現在乗っているGクラスは色を塗り替え、内装はマハラム社ファブリックに張り替えて、独自のカーライフを謳歌。

 

メルセデスの美点はそのままに

「自動車の父」と呼ばれているのが、ドイツ人のゴットリープ・ダイムラー。1883年、彼は今のエンジンの基となるフォーストロークエンジンを完成させ、それを四輪車に搭載した。これが現在のメルセデス・ベンツの原型で、だからメルセデス・ベンツもまた、エンジン車の生みの親であると言える。

で、エンジン車の父であるメルセデス・ベンツが「エンジンは時代遅れになるから、電気自動車にシフトしたい」と言い出した。

これがどういうことかというと、何代も続く老舗の蕎麦屋の跡取りが、「もう蕎麦なんて時代遅れだから、ラーメン屋を始めたい」と言い出すのに近いかも。てなことを考えながら、メルセデス・ベンツのEQAに試乗する。

ドアを開け、運転席に乗り込む。視界の良さ、ボディの四隅を把握しやすい親切設計など、これはメルセデスそのものだ。走り出してみると、無音・無振動のモーターによるふんわりと浮かぶような加速感がBEV(バッテリー電気自動車)っぽい。

一方で、しっとりとした乗り心地やコーナーでの安定感、そして何より、車に守られている安心感は、メルセデス・ベンツの美点そのものだ。

つまり長い時間をかけて蕎麦屋で培ってきた秘伝の出汁や麺の茹で方、締め方、あるいは接客やメニュー構成のノウハウなどは、すべてラーメン屋の開業に活かされているということだ。おそらく、蕎麦屋の顧客はそのままラーメン屋に移行すると想像する。

モータージャーナリスト
サトータケシ
フリーランスのライター/エディター。ここ2〜3年で、取材を通じて何十人ものオリンピアに会ってきたので、親戚のおじさんのようにドキドキしながらテレビ観戦していたとか。

 

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キャンプも車もスマート化

子供の頃からジープなどの軍用車が好きで、最初に買った車はジープのグランドチェロキー。その後もラングラーなどを乗り継ぎ、現在は2004年式のメルセデス・ベンツGクラスのほか、「CJ」という最初期のジープを2年ぐらいかけてレストアし、その2台を乗りわけています。

タフなオフローダーが好きな私ですが、EVはこれからのキャンプライフにおける重要なプロダクトになると思っています。

「火を熾すのが楽しい」というのはもちろん相変わらずありますが、それと同時に、LEDのランタンやIHのポットなどを使うキャンプスタイルも昨今では多くなり、“スマートキャンプ化”は、それはそれで面白いとな思います。面倒を楽しむことがキャンプの魅力でもありますが、もっとエコにスマートに。そんなフェーズにもう入っているのではないでしょうか。

その意味で、メルセデスのEQAには大いに注目しています。航続距離は十分ですし、12VやUSBの電源ソケットもキャンプ場では重宝するはず。そして何より「メルセデスのBEVである」というのが魅力です。

これはステイタス性云々という話ではなく、メルセデスは車としての基本性能がすごく高いと感じています。それはBEVでも同じで、とにもかくにも車として信頼できるんです。

デザイナー的視点でEQAを見ても、洗練されたデザインで気分がアガる、魅力的なプロダクトだと思います。

デザイナー/サンセットクライマックス代表
浦田孝典
建築および空間、プロダクトデザイナーとして活躍する傍ら、2014年にアウトドアギアのガレージブランド「sunsetclimax」を立ち上げる。ブランドの象徴であるタープの美しさは抜群。

 

これくらいがちょうどいい

そもそもピュアなBEVに長い航続距離を求めることが間違っていると思うのです。すべての内燃機関の代替品となるまでにはもう少し時間がかかる。特にバッテリー技術のブレイクスルーが必要でしょう。

たとえ長い距離を走れたとしても、すぐに帰って来れないんじゃ話にならない。東京から京都まで充電なしで走ったとしても、一晩充電しなきゃ同じようには帰れないんですから。ということはつまり、今のBEVは“ちょっとその辺りの用事”用としては重宝する、と言わざるを得ません。

でも、それで十分なはずなのです。皆が皆、そんなにいつも遠出するわけじゃない。一日に200km以上必ず走るなんて人、そう多くはないでしょう?

何が言いたいかというと、今、どうしてもBEVを買いたいというなら小さい車にしておきなさい、ということ。例えばこのメルセデス・ベンツのEQAのように、カタログスペックで航続距離が420kmちょっとというモデルでいいのです。街中をちょこちょこと乗り回すには最高ですから。

GLAのBEV版というわけですが、重くなったわりに持ち味の小気味の良さはまるで失われていません。むしろ電気モーターの力強さに当惑してしまうほど。不用意に加速すると、隣に乗せた友人から文句が出ました。それぐらい力強い。

私が試乗した車にはAMGのホイールがおごられていましたが、上手に履きこなしているなという印象でした。

モータージャーナリスト
西川 淳
フリーランスの自動車“趣味”ライター。得意分野は、スーパースポーツ、クラシック&ヴィンテージといった趣味車。愛車もフィアット500(古くて可愛いやつ)やロータス エランなど趣味三昧。

 

谷津正行、高村将司=文

# メルセデス# 電気自動車
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