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2020.07.05

世紀を越えられなかったBMW「E31」。不遇のスーパーカーの正体

「中古以上・旧車未満な車図鑑」とは……

vol.7:「E31」
BMW、1990年〜1999年

かつてスーパーカーといえばライトがボンネットから立ち上がるリトラクタブル・ヘッドライト、という時代があった。
ランボルギーニ「カウンタック」やフェラーリ「512BB」も採用し、スーパーカーブームに乗ってリトラクタブル・ヘッドライトを備えた自転車まで販売されたほどだ。
E31型(8シリーズ)の「850CSi」。新車時車両本体価格は1680万円。「840Ci」は1170万円。現在、中古車はほとんど流通していないが、あれば400万円程度から。
そんなリトラクタブル・ヘッドライト、略してリトラと言うけど、スーパーカーブームの1970年代以降も採用車は絶えなかった。’80年代後半からバブル時代に入ってもホンダ「NSX」や三菱「GTO」、マツダ「ユーノスロードスター」……と採用されていたのだが、2000年代に入ると突然、次々と姿を消し、2005年を最後にとうとうリトラは消滅する。
まあ、スポーツカーなのに空気の流れを遮る形って……とか、普通のヘッドライトよりコストが……などさまざまな課題があったのも事実。
それでも「スラッとしたノーズをつくれる」という理由もあって採用されていたが、技術の進化によりどんな形状のヘッドライトでも作れるようになると、デザイン的な有利性もなくなってしまったようだ。
とはいえ、今見ても初代「NSX」はリトラ仕様は格好いいし、コルベット「C2」の抑揚あるボンネットのラインは美しいと思う。つまり、やっぱりリトラはひとつの正義なのだ。
BMW初のスーパーカーといえる「M1」にもリトラが採用されていた。ミッドシップレイアウトで、デザインはジウジアーロがいたイタルデザイン。


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