軽んずべからず「軽自動車」
日本が世界に誇るマイクロカー「軽自動車」。普通車なみの機能を持ってバリエーションも豊富、しかも何かと遊べる要素も満載で、国内の新車販売台数の約4割が軽自動車という事実もある。決して軽んじちゃいけない「軽自動車」の魅力にズームイン!
>そのほかの「軽んずべからず『軽自動車』」の記事はコチラ軽自動車は、サイズも排気量も厳格に定められた「軽自動車規格」の範囲内に納めなくてはいけない。
だから形もスペックも似たり寄ったりになりがちなのだけど、その中でも軽自動車(K)ナンバー1やオンリー1を勝ち取った、試行錯誤と努力の賜物と言ってしかるべき軽自動車をピックアップ。
【疾走感も価格も最高潮】
日英合作! 399万円の軽スポーツカー
ケータハム・セブン160S
ケータハムとはイギリスのライトウェイトスポーツカーのメーカー。こちらのセブン160Sは1.6Lや2Lエンジン搭載モデルなどバリエーションがある中で、旧型スズキ・ジムニーのエンジンをチューンして載せたモデルである。世界各国で販売されていて、日本では軽自動車登録となる。
価格はメルセデス・ベンツのAクラス(328万円〜)より高い399万6000円(税込)で軽自動車では最高峰。最高出力は国内の業界自主規制の枠、64PS(PS=馬力)にとらわれず80PSだ。
これでジムニーの半分以下の車重(490kg)だから、体感速度はめっちゃ速いし、楽しい1台。
【軽でいちばん高身長なやつを狙うなら】
2Lミニバンより高い天井! だから収納力が半端ない
ダイハツ・ウェイク
軽自動車トップの室内高1455mmを誇るのがウェイク。軽ナンバー1どころか、2Lクラスのミニバン、例えばトヨタ・ノアや日産・セレナよりも高いのだ。頭上のたっぷりとした空間は、遊び道具の収納スペースとして使えるし、車内での着替えもラクラク。
それどころか自転車だってそのまま(タイヤを外したり横に倒したりしなくても)2台積めてしまう。しかも、それだけ載せても2人が乗車可能。
そのうえラゲージの床下に90L収納や、シート下などにも細かな収納スペースがあるほか、豊富なオプションを使って車内を自在にアレンジできる。背丈も対応力も高い、遊べる軽自動車だ。
【不動の指名ナンバー1】
軽自動車、いや国産自動車で最も売れた人気モデル
ホンダ・N-BOX
2018年の1月〜12月で最も売れた軽自動車、どころか国内の乗用車の中で最も売れたのがホンダ・N-BOXだ。その数は約24万台。普通車でトップの日産・ノートが約13万台だから、その人気はダントツ。
トレンドである「広々とした軽自動車」であることも人気の大きな要因。加えて、いわゆる自動ブレーキはもちろん、車線内をキープしたり、渋滞時に先行車に合わせて自動で追従したりと、至れり尽くせりな先進機能が全車に標準装備。この辺りは普通車でもオプション扱いが多いのに……そりゃ人気なわけだ。
【ブレない最強へのこだわり】
世界一小さな本格派オフローダー!?
スズキ・ジムニー
今ではフレーム(車の土台のようなもの)とボディを一体化して作るモノコックボディが当たり前。しかし昔はフレームとボディは別々が主流で、特にラダー(梯子状)フレームにボディを載せた車は、万が一ボディが凹んでも走り続けられるなど、悪路走破性が高いとされる。
そのためトヨタ・ランドクルーザーやメルセデス・ベンツのGクラスなどタフなクルマに今でも用いられているが、軽自動車(乗用)では唯一、ジムニーが採用している。
ほかにも軽で唯一、ドライバーが2WDか4WDかの駆動方式を選べるパートタイム4WDを装備。さらに車体を地面にすらずにデコボコ道を走破しやすいリジッドアクスルや、急な下り坂を自動で下りる……などなど世界中の悪路を走破したくなる唯一無二の軽自動車だ。
【軽のナンバー1スポーツマン】
走りにこだわってフェラーリと同じに!?
ホンダ・S660
ホンダ・S660モデューロXの車両本体価格は285万120円(税込)。国産軽自動車では最も高い。その理由は、フェラーリやマクラーレンといったスーパー・スポーツカーが採用するMR(エンジンを車体の中央部に積んで後輪を回す駆動方式)を国内の軽自動車で唯一(※)採用するなど、走行性能にこだわったからだ。
一方でエンジンは細かな調整はしているものの、国内業界の自主規制である最高出力64PSは守っている。
まあ、別の見方をすれば、これで出力まで上げていたら、もっと価格も上がっていたかも……な国産のスーパー“K”カーだ。
「軽自動車なんてどれも同じでしょ?」答えは「NO!」 。小さく軽いボディと厳しい規制の中でも、大きな個性を発揮する車もたくさんあるのだ。その繊細なこだわりと努力に賛辞を送りたい。
※:軽商用車を除く。籠島康弘=文