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2023.06.16

からだ

「モノが二重に見える」は、くも膜下出血の前兆かも。働き盛りが知っておきたい脳卒中のこと

©️mapo/iStock

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「知らないと怖いカラダのサイン」とは…… 

何気ない日常を唐突に終わらせてしまうーーそんな恐ろしい病気のひとつが脳卒中だ。

なかはら脳神経クリニック院長の中原邦晶先生によると、「予兆なく起きると思われている脳卒中ですが、実はさまざまなサインが灯されています」という。

今回は、オーシャンズ世代が押さえておくべき脳卒中の正しい知識を中原先生に教えてもらった。

話を聞いたのはこの人!中原邦晶●なかはら脳神経クリニック院長。脳疾患に関わる多くの専門医を取得。頭と脳の悩みのプロフェッショナルとして、メディア出演歴も多数。

中原邦晶●なかはら脳神経クリニック院長。脳疾患に関わる多くの専門医を取得。頭と脳の悩みのプロフェッショナルとして、メディア出演歴も多数。

「脳卒中=高齢者の病気」というのは大間違い

©︎Pornpak Khunatorn/iStock

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――脳卒中は大病のイメージがありますが、そもそもどんな病気ですか?

脳卒中には大きく分けて3つの種類があります。脳の血管が詰まってしまう「脳梗塞」、脳の血管が破れてしまう「脳出血」では特に、生活習慣病が大きなリスクになります。

もうひとつが、脳卒中のなかでもっとも深刻と言われている「くも膜下出血」です。

――どんな特徴がありますか?

バットで殴られたような強烈な痛みがあるくも膜下出血は、今までに感じたことがないような強い頭痛が突然に起こります。一度発症すると約3割の方が死亡、約3割の方が重い障害を残すと言われています。

“昨日までバリバリ働いて、元気だった人が急に……”というのが、くも膜下出血の特徴です。


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働き盛り世代に起こりやすい「くも膜下出血」



――くも膜下出血が起きる原因はなんなのでしょうか?

中高年に発症した方の約9割は、脳の血管にできた「動脈瘤」の破裂が原因と言われています。この「脳動脈瘤」は、40~50代でもっとも起こりやすくなることがわかっています。

――私にも、脳動脈瘤がある可能性はありますか?

原因は諸説ありますが、家族歴は大きなヒントとされています。ご家族でくも膜下出血を起こしてしまった方がいたり、脳動脈瘤を指摘された方がいた場合は注意が必要です。

――脳動脈瘤があることによって、出てくる症状はありますか?

脳動脈瘤のサイズや存在する場所によっては症状が出ることもあります。

大人になって強い頭痛が起こるようになった場合や、前がぼやけて見えにくくなったり、モノが二重に見えたりするなど、目になんらかの症状があれば必ず医師にかかってください。

ただ、くも膜下出血が起こってはじめて知るケースも少なくはありません。

――症状が出ないまま、脳動脈瘤が破裂してしまうこともあるんですね。

その通りです。なので大前提として、普段から脳の血管に負荷をかけないような生活を意識して送ることが、とても重要なんです。


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血管に負荷をかけない生活が、脳卒中予防のカギに

©️mapo/iStock

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――脳動脈瘤の破裂には、引き金があるんですか?

高血圧を指摘されている方、また喫煙や過度な飲酒はくも膜下出血の大きな原因になります。脳動脈瘤を覆っている血管に強い圧力をかけたりすると、破裂しやすくなるんです。

――血管にグッと圧力をかけてしまうことが、突然のくも膜下出血を引き起こすんですね。

このほか、ストレスも血管に大きく負荷をかけてしまいます。仕事をバリバリこなし、アクティブに活動する生活では血圧の変動も起こりやすくなります。これが、くも膜下出血が40〜50代に多いと言われる理由です。

――確かに働き盛りの世代は要注意ですね。

このほか、「脳動脈解離」もこの世代に多いですね。きっかけは、外部からの衝撃によるものから、原因不明のものまでさまざまです。

このときは後頭部から首のうしろにかけて強い痛みが起こるのが特徴ですので、すぐに医師にかかってください。そのままにしておくと、さらに重症とされる脳梗塞やくも膜下出血につながります。
 

一度は受けておくべき「脳ドック」とは


――脳の異常は、通常の健康診断では見つけられないんでしょうか?

「脳ドック」という脳に特化した検査をしなければ見つけることは難しいでしょう。

脳を断面図で見ることで脳動脈瘤の確認はもちろん、これから脳に起こり得る病気の前兆も察知することができます。

――未来に起こる脳の病気まで分かるんですね!

最近ではAIも活用することで、アルツハイマー型認知症のリスクもわかるようになってきました。まだ一度も脳ドックを受けたことのないオーシャンズ世代は、ぜひ受けてみてください。

 ♢

運よく一命を取り留めたとしても後遺症が残り、介護が必要になることも多いのが脳卒中の怖さだ。家族や大切な人たちのためにも、防げる病気は見つけておこう。

長瀬瑠美奈=取材・文

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