渡辺真史●1971年、東京都生まれ。ベドウィン & ザ ハートブレイカーズのディレクター。ローカルとインターナショナル、2つの視点で東京をクルージング。
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すべての写真を見る青山の路地裏にひっそりと、それでいて力強く佇む銀色の建築物「シアター・イメージフォーラム」。
地下と地上のふたつのシアターでは国内外のマニアックな作品が流れ、映像研究所ではセミナーを実施。映画祭も主催するなど、活動は多岐に及ぶ。
映像をコミュニケーションツールとして捉え、普及と上映を担う発信基地で、営業部の山下宏洋さんに話を伺った。
「シアター・イメージフォーラム」
渡辺 こんにちは。この場所には、2000年に移転したと伺いました。
山下 はい。始まりは映画館ではなく、個人の上映活動を支える四谷のワークスペースです。僕はその教室に通い、自分でも映像を撮っていました。でもセミナー用のチラシ作りにハマり、いつの間にか“中の人”に。
渡辺 失礼ですが、今おいくつで?
山下 72年生まれの54歳です。
渡辺 僕は71年生まれ。親近感を覚えます。僕らが生まれる前の映像は、娯楽だけでなく活動的な意味合いが色濃かった気がします。そして、実際に映像を撮ろうとすると莫大なお金がかかってしまう。
山下 例えば今はスマホで撮れますが、当時はフィルムかビデオテープ。経済的にも時間的にもコストが段違いですよね。
渡辺 だからこそ、映像に進む人には強い覚悟を感じます。とりわけ商業主義から離れた芸術表現が主戦場となると、並大抵の熱では届かない。そんな尊いパワーを持つ人が集まる場所が、今の時代に、青山の一等地に存在する。とてつもないですね。
山下 ありがとうございます。でも実は、昔は渋谷界隈に面白いミニシアターが7〜8軒あったんです。レコード店とのシナジーもあり、街全体でサブカルを醸造していました。
渡辺 当時の街並みとは異なりますが、変化も渋谷の魅力だと思います。だから街が年を取らない。年を取った身からすると少し寂しいけど。
山下 海外客が増えたことも、時代の流れですね。我々はチケット代で運営していますが、フランスや韓国はシアターに国から助成金が下りる。その違いに驚かれる方も多いです。
渡辺 ここで上映される作品のセレクトは、山下さんご自身が?
山下 はい。自分の好みに執着しすぎないよう、お客様の反応や配給会社の推薦とバランスを取りながら。
渡辺 山下さんの個人的な好みは?
山下 “わからない”作品が好きです。映像って、人と同じだと思っていて。ミステリアスなほうが面白い。
渡辺 向き合うことで何かが刺激され、世界が広がる。確かに、映像と人は似ています。皆さんにもぜひ、映像との出会いを習慣化してほしい。では最後に、今後の展望は?
山下 街とのつながりを意識したいです。先日視察したタイの映画館で、幕間に上映場所のヒストリカルトークを行っていて。すごく楽しそうで、青山でもやってみたいですね。
——打ちっ放しのコンクリート壁に影が落ち、黒く染まる。まるで映像への熱にも当てられたかのように深化した、唯一無二の燻し銀だ。 「シアター・イメージフォーラム」
住所:東京都渋谷区渋谷2-10-2
電話番号:03-5766-0114
営業時間:上映作品や日によって異なる(無休)
OCEANS11月「デニムは、人だ。」号から抜粋。さらに読むなら本誌をチェック!