「2330㎏という数字から想像する重さを、走り出すとほとんど感じない。踏めば645N・mらしい力強さで前に出るのに、乱暴じゃない。車線変更も加速も滑らかで、速いのに上品。“新しいBMW”を、走りからもしっかり感じました!」。
走り出しの感想は?
「やっぱり滑らかですね。その“滑らかさの質”がいい。では少し踏んで……おおっ、速い!」。
グッとGがかかりますね。
「今のでアクセル7〜8割。ベタ踏みでもスポーツモードでもない。それでもこの加速。最大トルク645N・mの力強さは踏んだ瞬間にわかります。車重2330kgあるのに重さを感じない。踏めばガーンとクルマが前に出るけど唐突じゃない。上品です」。
ただ速いだけじゃない。
「EVって踏んだ瞬間の速さは珍しくなくなった。でも、このクルマはその力をどう出すかがうまい。車線変更もスッと自然だし、ドライバーが振り回されない。そこはBMWらしいですよね。走るとちゃんと“いいクルマ”です」。

安東さんは普段からEV乗りですよね?
「はい。マニュアルで楽しむならガソリン車が好き。でもSUVやファミリーカーなら、もうEVかPHEVしか乗れないカラダになってしまいました(笑)。静かで滑らかで、いざというときの瞬発力もある。やっぱりラクですから」。
安東さん、自宅ガレージの屋根で発電した電気を、そのままEVにも使っているんですよね?
「まさに。自宅やガレージで充電できることが大前提です。僕の場合は家で充電できるから、ガソリンスタンドへ行く感覚そのものがほとんどなくなった。そこまで含めてEVの便利さなんですよね」。
環境が整えば、日常にスッと入ってくる。
「充電環境がない人にまですすめるつもりはありません。でも環境が整っているなら、一度は騙されたと思って乗ってほしい。“EVがいい”って言うと、日本では結構アウェーなんですけど(笑)」。

そんなEV乗りの安東さんが、今回驚いたのが航続距離。
「バッテリー残量48%なのに、航続可能距離が303kmと出ている。これは大きいですよ」。
半分を切って、まだ300km。
「バッテリー残量が49%なのに、航続可能距離が301㎞と出ていた。普段EVに乗っているからこそ、これはかなり驚きました。半分を切った状態で遠出するのって少し心細い。でも、"あと300㎞走れる"なら気持ちの余裕が全然違う。パワーや加速以上に、こういう安心感にEVの進化を感じますね」。
「残量50%を切ると、遠出するのに少し心細くなる。でも“あと300km走れる”なら、気持ちに余裕が出る。EVってパワーや加速に目が行きがちだけど、日常では“充電を気にせずどこまで行けるか”のほうが大事だったりします」。
ノイエ・クラッセの印象は?
「“EVって、ここまで普通に使えるようになったんだ”ということ。それも含めてノイエ・クラッセなんじゃないかな」。

では、iX3の総評は?
「個人的には、デザインは手放しで褒められませんし(笑)、操作系にも言いたいことはある。でも、走りは滑らかで速くて静か。航続距離も期待できる。クルマとしては、かなり良くできています」。
最後に印象に残ったものは?
「ワイパーです!」。
えぇー、そこですか!?
「本当に動きがいいんです。ワイパーにも品格ってあるんです。バン、バンじゃなくて、スッと動く。そういう細かな仕立てまで含めて、“新しいBMW。ちゃんとBMW”でした。でも、やっぱりシートベンチレーションが欲しい!」。
結局そこかいっ。
「日本の夏ですからね(笑)」。
フリーアナウンサー安東弘樹●1967年、神奈川県生まれ。愛車遍歴およそ50台を誇る生粋のカーガイで、ドライブはただひたすらクルマを運転していたい派。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。現在はBMW X5 PHEV、プジョーの電気自動車 e-208などを所有する。
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