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2026.10.13

ライフ

「環境とビジネスが自立循環するモデルを」。サラヤが対馬から世界へ広げるブルーエコノミーの未来


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自分達の日常とは、一見縁遠く感じる“海洋保全”に、日常の行為や持続可能な経済活動を結びつけながら取り組む企業・人物をOCEANSが表彰する「THE BLUEKEEPERS AWARD」。

今年も開催された「THE BLUEKEEPERS AWARD 2026」では5名の受賞者が決定し、去る8月には授賞式も開催された。

OCEANS編集部では各受賞者にインタビュー取材を実施。今回は「特別賞」を受賞したサラヤ株式会社代表取締役社長であり、NPO法人ZERI JAPAN理事長を務める更家悠介さんに話を聞いた。
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さらや・ゆうすけ●大阪大学工学部卒業後、カリフォルニア大学バークレー校大学院修士課程修了。1998年、サラヤ株式会社代表取締役社長に就任。事業推進と同時、衛生・健康、そして環境保全に関する社会貢献活動を積極的に推進する。2025年大阪・関西万博ではNPO法人ZERI JAPAN理事長として海洋環境に特化した「BLUE OCEAN DOME」を出展。持続可能な社会と環境の実現を目指し、国内外で多角的なイノベーションを牽引している。

さらや・ゆうすけ●大阪大学工学部卒業後、カリフォルニア大学バークレー校大学院修士課程修了。1998年、サラヤ株式会社代表取締役社長に就任。事業推進と同時、衛生・健康、そして環境保全に関する社会貢献活動を積極的に推進する。2025年大阪・関西万博ではNPO法人ZERI JAPAN理事長として海洋環境に特化した「BLUE OCEAN DOME」を出展。持続可能な社会と環境の実現を目指し、国内外で多角的なイノベーションを牽引している。


持続可能な海を作る鍵は、“ビジネスとの両立”

世界の海には年間約800万トン以上とも言われるゴミが流れ込み、海洋汚染がますます深刻化する現代の海。

サラヤ株式会社の社長であり、NPO法人ZERI JAPANの理事長として長年海洋保全を牽引してきた更家悠介さんは、2025年大阪・関西万博での「BLUE OCEAN DOME」出展などを通じて、日本と世界へ強いメッセージを発信してきた。
大阪・関西万博で出展された「BLUE OCEAN DOME」は、“海”のテーマに特化した唯一のパビリオンとして注目を集めた。

大阪・関西万博で出展された「BLUE OCEAN DOME」は、“海”のテーマに特化した唯一のパビリオンとして注目を集めた。


「THE BLUEKEEPERS AWARD 2026」では、その長年の功績と未来へ繋がるリーダーシップに対して特別賞を授与。更家さんに、現在進行中の地域プロジェクトの現状と、万博を経て、これから描く「海と経済」のビジョンについて伺った。

――まずは、万博を経て現在取り組まれているプロジェクトについて教えてください。

更家さん 2025年に万博という大きな節目を迎えましたが、我々の取り組みは決して一過性のものではありません。そのひとつが、長崎県対馬市で進めている「対馬プロジェクト」です。

対馬は地理的に多くのゴミが漂着し、海洋プラスチックゴミ問題の最前線でもありますが、ここでは単に“流れ着いたゴミを拾う”だけでなく、地元の漁業やプラスチック回収・加工業も含めた循環を生み、環境保全とビジネスが両立するモデルを構築しようとしています。

対馬を視察し、海岸に漂着する海洋ゴミを確認する更家さん。

対馬を視察し、海岸に漂着する海洋ゴミを確認する更家さん。


――環境保全とビジネスの両立するために、具体的にはどのようなアプローチを?

更家さん 例えば、回収したプラスチックのうちリサイクル可能なものは、すでにアスクルさんなどのパートナー企業と連携しており、今年の2月には海洋プラスチックを配合した手動ディスペンサー「MD-300-OP」シリーズを発売するなど、容器などに再生するサイクルをスタートさせています。

また、素材としてのリサイクルで大きな課題であった、再生素材として活用できないプラスチックゴミがどうしても出てしまうことへも取り組んでいて、そういったリサイクルできない素材については、対馬の現地施設に導入した装置で発電などの燃料として使える加炭剤に変換し、再利用する試みを行っています。

発電や加工燃料として使われる加炭剤。同じく対馬に流れつく流木と混ぜて作られる。

発電や加工燃料として使われる加炭剤。同じく対馬に流れつく流木と混ぜて作られる。


――漂着ゴミを素材やエネルギーとして、地元の経済活動へ再循環させていくと。

更家さん そうです。さらには島内でのエネルギー地産地消を目指し、電動モビリティ開発や、EV充電ステーションの設置も検討しています。この「対馬モデル」を数年かけて完成させ、将来的に東南アジアをはじめとする同じような課題を持つ世界の島嶼部へ展開していくのが狙いです。

――非常に具体的でスケールの大きな取り組みですね。そうした活動の中で、人々の意識の変化は感じますか?

更家さん 非常に強く感じています。気候変動や猛暑、近年の不漁問題など、一般の方々にとっても海洋環境の変化が「自分事」として身に沁みて感じられる時代になりました。

漁師さんたちもこれまでは「漁師の仕事場としての漁港をこれまでと同じように守る」という意識が強かったのですが、いまでは「漁港をどう有効活用して新たな価値を創っていくか」という意識に変わり、陸上養殖や観光活用など、新しい経済価値を生み出す動きが各地で生まれています。

――なるほど。持続可能な活動にするためには、経済的な循環が不可欠なのですね。

更家さん まさにその通りです。どんなに素晴らしい理念や意義があっても、補助金などのお金に頼っていては長続きしません。最終的にはビジネスとして自立し、「ブルーエコノミー」と言われるような、経済活動として成り立って、回っていく仕組みに落とし込むことが、“持続可能”な取り組みのために何より重要ではないでしょうか。

サラヤのメイン事業は衛生・健康領域。販売する自社製品にも再生素材を積極的に使用しており、手動ディスペンサー「MD-300-OP」シリーズは、対馬で回収された海洋プラスチックを配合している。

サラヤのメイン事業は衛生・健康領域。販売する自社製品にも再生素材を積極的に使用しており、手動ディスペンサー「MD-300-OP」シリーズは、対馬で回収された海洋プラスチックを配合している。


――更家さんは、海洋保全にはファッションや食といった“カルチャー”の重要性についても発言されていますね。

更家さん 日本は世界有数のコーストラインを持つ海洋国家です。だからこそ、「海洋ファッションと言えば日本」と言われるような新しいカルチャーや発信力がもっとあっていいと思っています。

環境保全は、非常に深刻で難しい問題です。だからこそ、課題を突きつけるだけでなく、ファッションやフードといった誰もが楽しめる日常の入り口を通じて、ある意味のカルチャーとして人々の行動変容を促していくことも大切です。

例えばファッション領域でも、廃棄漁網を再利用したナイロン素材などは現在もあるかと思いますが、そこだけにとどまらず、ライフスタイルやファッションカルチャーとして誰もが着たくなるような深みと魅力を持たせる。そうした「共創的価値」をOCEANSさんのような多様なパートナーやクリエイターと一緒に作り上げていきたいです。



――最後に、今後の展望と読者へのメッセージをお願いします。

更家さん 2026年から2030年に向けて、我々は地方創生やローカルエコノミーの構築をさらに推し進めていきます。

環境問題という深刻なテーマをベースに持ちながらも、表現の入り口やきっかけは、例えば「涼しげでオシャレ」に楽しむ。そうしたアンビバレンス(相反する要素の同居)なアプローチこそが、この問題への取り組みを、ライフスタイルやカルチャーを豊かにする取り組みとして広げていってくれると思っています。

海洋保全は、我々のような一企業やひとつの地域だけで解決できる課題ではありません。日本が持つ海のポテンシャルを活かし、世界ナンバーワンの「海国」として輝けるよう、皆さんと一緒に、楽しみながら持続可能な未来を作っていきたいですね。

――ありがとうございました!

[問い合わせ]
サラヤ株式会社
https://www.saraya.com/
NPO法人ZERI JAPAN
https://www.zeri.jp/

吉川雄介=編集・文

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