「NIPPON CRAFT QUEST」とは……2026年現在、勝浦市人口1万5000人弱。令和以降、このカウントは右肩上がり。
深掘りすると、Iターン、Jターンら移住組のヌーベルバーグが見えてくる。ライフスタイルの心機一転、あるいは“新規一転”が叶えられるスローシティ。
そんな勝浦を盛り上げる移住者たちの店を訪れ、この地の魅力を聞いてみた。
コミュニティハブを担うコーヒースタンド 「スパイス・コーヒー・ハウス」

いわゆる昭和レトロな喫茶文化は勝浦にも根付いているという。だけれど、サードウェーブのコーヒースタンドとなると、市内では「スパイス・コーヒー・ハウス」だけ。
能登の“輪島朝市”に飛騨高山の“宮川朝市”と並び日本三大朝市と呼ばれ、430年以上も続く由緒ある“勝浦朝市”が毎週水曜日を除くほぼ毎日開催される仲本町朝市通り、その目と鼻の先に2022年から居を構えている。
切り盛りするのは代表の紺野雄平さん、立ち上げメンバーのひとりである黒沼悠さんをはじめ、バリスタの万代千紗さんや髙橋明恵さんといずれも勝浦への移住組。

以前煎餅屋だったことをローカルに思い出させる引き戸の趣ある和風家屋をありのまま生かしたのは、ノスタルジックな港町らしい街並みへのオマージュだ。このコージーさと挽き立てのコーヒー豆の香りとが相俟って、地元の常連、仕事中のブレイクタイム、ぶらりと訪れた観光客に、初対面でも自然と会話が生まれ、弾む。
左●盛夏にホットでも好評の竹炭スパイスラテ(800円)。右●エスプレッソの苦味がグッと清涼感を引き立てるエスプレッソ夏みかんサイダー(900円)。
憩えるロースター兼ギャラリーセレクトショップ 「エドヤ」

「スパイス・コーヒー・ハウス」を出て右手、徒歩30秒圏内に同店が焙煎所を拡張するため、2023年にオープンさせた「エドヤ」がある。
そもそもは地産地消の土産物屋「江戸屋」と郷土の工芸品を取り扱う「洋陽社ギャラリー」だった物件を引き継ぎ、古き佳きシックな雰囲気にはあえて手を加えず、雑貨店とギャラリーを併設のうえ、購入したドリンクを持ち込める休憩所に。

アンティークなテーブルセットが印象的なラウンジスペースの奥では、年季の入ったTAKASE FACTORY CO.の焙煎機“Lucky”が小気味良く、芳しい音色を奏でていた。
取材時、東京出身で勝浦歴7年目の焙煎士・齋藤俊さんがロースティングしていたのはエチオピア産。「スパイス・コーヒー・ハウス」では往年の珈琲好きも、ヘルシーなフレッシュさを求める方も賛否の分かれない浅煎りと深煎りのちょうど中間、中煎りがメイン。

焙煎に基準となる旧SCAA(アメリカスペシャルティコーヒー協会)で、現SCA(スペシャルティコーヒー協会)が策定するスペシャルティコーヒーのフレーバーホイール。
「僕らが目指す焙煎は疲れが取れたり、ポジティブにリフレッシュできたり、飲むことで次のモチベーションになれるのが理想ですね」と、意欲的な齋藤さん。南房総で味わえる一杯には今カフェ界で耳目を集めている“デリシャスネス”が凝縮されている。
「スパイス・コーヒー・ハウス」唯一のUターンメンバー、鈴木里佳子さんによるオリジナル手焼き煎餅(300~380円)に、マガジンコーナー、千葉県産のグロッサリー、焼き物の展示・販売と雑貨商というに足るオールマイティなラインナップ。
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