初年度で8000kgのゴミを削減。86%が“取り組みの継続に賛成”
マイボトルランを実施した年の給水所には使い捨てカップが一つも落ちていない。ランナーからは「走りやすかった」という賛同の声が届いた。
使い捨てレインコートの山も嘘のように消えた。
初のマイボトルランが実現したのは、構想から2年後の2022年12月。結果は明快で、1万1495kgだったゴミは3447kgへと激減。初年度から実に70%減である。
「それまで使っていた約50万個の使い捨てカップや約3万1500本のペットボトル(水約50トン)を全廃し、代わりに、ステンレスジャグやリターナブルボトル、2トンの給水タンクを活用し、コース上に平均約200m間隔で200ヶ所以上の給水ポイントを設置しました。開催前は賛否はもちろん、辛辣な意見もありました。でも、大会後は参加した86%以上のランナーが『取り組みの継続に賛成』と評価してくれてほっとしましたね」。

旧来のやり方を根本から刷新した試みは進化し、排出されたゴミの総量は翌2023年大会で3049kg、2024年には2811kg、2025年大会では2724kgを記録。給水所を運営するボランティアの負担も大幅に軽減した。マイボトルランという新たなスタンダードは定着を見せ、ゴミの削減記録は毎年更新されている。誰もが後を追いそうな目覚ましい成果だが、「湘南国際マラソンだからできた」と後藤さんは振り返る。その言葉の背景に、サステナブルな社会が直面する現実的なハードルがある。
「海や山といった豊かな自然を身近に感じられる湘南には、環境への意識が根づくとともに、新しい挑戦を受け入れる土壌がありました。加えて、民間主導の運営体制による自由度の高さも、抜本的な改革を後押ししてくれました」。
事実、ゴミという課題に正面から向き合うマラソン大会は、国内外を見渡しても未だほとんど存在しない。
湘南という土地のオープンな気風に加え、キーパーソンとなった運営トップの視点も大きかった。
「湘南国際マラソンの事務局長はかつて吉本興業にいた方。ランナー目線に凝り固まらず、世の中に面白い仕掛けを作りたいという柔軟な発想があったおかげで、外部の意見にも耳を傾けてくれたんだと思います」。 3/3