“異変に気づく”ための受診へのハードルを下げる
ボストン・メディカル・サイエンシーズでは、AIを用いた完全無下剤のバーチャル内視鏡検査システム「AIM4CRC」を開発し、高精度な全大腸検査の実装を進めている。
「大腸がんは、早く見つければ命を落とさなくていい病気です」。そう語る岡本さんが取り組むのは、AIを活用した大腸がん検査の社会実装だ。
内視鏡検査や下剤への不安、時間的・心理的な負担。検査の必要性を理解していても、そうしたハードルから受診を先延ばしにしてしまう人は少なくない。岡本さん自身も、家族が便潜血検査で異常を指摘されながら受診を先延ばしにし、結果的に進行がんが見つかった経験を持つ。
「先延ばしにした本人が悪いわけではありません。精密検査を受けるために求められる負担が大きすぎる点に問題があると考えています。受けない人を説得するのではなく、受けるハードルを下げる検査をつくりたいと思ったんです」
“考え方の変化に気づく”のが健康への第一歩

会社を立ち上げた当初、岡本さんは自分の体調よりも、事業を前進させることを優先していたという。だが、無理を重ねた結果、体調を崩して一泊入院することになった。
「そのとき、自分の不調は自分だけの問題ではないと痛感しました。会社としての判断力や発信力が落ちるだけでなく、組織全体の空気まで変わってしまうんです」
以来、岡本さんは自分自身の健康を「会社にとって一番重要な経営資源」と捉えるようになった。とはいえ、日本とアメリカを行き来し、会食も多い。移動が続けば、生活習慣が一気に崩れることもある。
そんな中で、岡本さんが不調のサインとして見ているのが「考え方の変化」だ。
「調子が悪くなると、論点を分けて考えられなくなります。本当は白黒だけでは決められないことまで、必要以上に結論をつけたくなってしまう。そういう考え方の変化に気づくことが、僕にとっては大きな不調のサインです」
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