判断基準は着心地と見た目。ブランド名は一切気にせず

古着愛とデニム愛。ファッション観の変化にもつながるそのきっかけは、ミュージシャンや画家として活躍する次男・荻野綱久さんからの何気ないアドバイスだった。
「ある日、『オヤジさ、古着屋に行くと面白いよ』って言われて。連れて行ってもらったのが、三軒茶屋のノワールという店でした。僕が大好きだった“ゴルチエ”の服も置いてあって、それまでの野暮ったい古着屋のイメージとは全然違う。一気に親近感と面白みを覚えて、通うようになりました。店長のセンスも良いし、お気に入りですね」。

古着独特のヤレた表情や、アジのある雰囲気。それらが一体となって形作る、“一点モノ”のオーラにも惹かれた。その最たる存在がデニムだ。「朽ちたような、使い込んだ風合いが好き」で、色はブルーからブラック、ホワイトデニムまで幅広く好む。


「今日は、インスタで評判だったデニムスタイルをアップデートしてみました。“TOKYOショック”
※のマイク・タイソンを題材にした鬼塚(勝也)チャンプのTシャツに、リーのブルーデニム。そこに、お気に入りのジャケットを羽織りました。デニムと合わせてクタっとした表情にしたいから、ジャケットはあえて洗い晒しです」。
※ 1990年2月11日に東京ドームで行われたボクシングのWBA・WBC・IBF世界ヘビー級統一マッチ、マイク・タイソン対ジェームス・ダグラス戦。当時絶対的強さを誇っていた王者のタイソンが、大穴とされた挑戦者ダグラスに10R KO負けを喫した、ボクシング史に残る大番狂わせのこと。

ちなみにジャケットは人気ブランド、カラーの1着。ただし、鶴太郎さんは“名札”には無頓着だ。判断基準は着心地と見た目で、「絶対にフィッティングをしてから買う」というルールを曲げない。だからデニムもユニクロからリーバイス、ドルチェ&ガッバーナなど、あらゆるブランドの身体にあったお気に入りがふたつの衣装部屋に並んでいる。

そしてこの日は、鶴太郎さんと同じく“デニム好き”を公言するOCEANSのためにもう1体スタイリングを披露。デニムシャツを素肌に纏う、ワイルドで洒脱なデニム・オン・デニムだ。


「このシャツは、10年ほど前にビームスで購入したレミ レリーフです。当時はもちろん新品だったけど、着ているうちにより古着っぽく育ってきました。パッチワークや自然にほつれた感じがすごく素敵で気に入っています。パンツは、どこのだろう。サイズとダメージの塩梅が良くて、何度か穿いているんだけど……」。


ふとウエストのロゴを確認すると、なんとアズール。しかも、レディスサイズだというからさらに驚きである。
「着てみてしっくりくれば、メンズでもレディスでもOK。みんなは気付いてないかもしれないけど、インスタに上げたコーディネイトにも女性用の服を使っていることが少なくないんですよ」。

タフで、年を追うごとにアジを増し、みんなに愛される。そんなデニムと鶴太郎さんは、まさしく相思相愛。そこに水を差す覚悟で「夏は暑すぎてデニムを避けたくなりませんか?」と尋ねると、こんな答えが返ってきた。
「ごわっとしたデニムだとそう感じるかもしれませんが、僕は気になりません。むしろ、暑い時季はクーラーで身体が冷えすぎちゃうほうが怖い。そもそもコットンは汗を吸収してくれますし、意外と夏のデニムって便利だと思います」。
3/3