マイベスト② 平壌冷麺 食道園の「平壌冷麺」

個性的な酒場がひしめき合う蒲田バーボンロード。ここでぜひ立ち寄りたいのが「平壌冷麺 食道園」です。場所は蒲田駅から徒歩5分。「盛岡冷麺」発祥の地とされる、岩手・盛岡の「食道園」から暖簾分けを許された店であり、本場の盛岡冷麺を堪能できます。
「盛岡冷麺」は、食道園を創業した青木輝人氏が、故郷・朝鮮半島の冷麺を参考に、日本人の舌に合うよう改良した盛岡の郷土料理です。
今回紹介する蒲田の店舗は平成21年(2009年)創業と、老舗というにはやや若いかもしれません。しかし、店主は先に紹介した青木氏の下で盛岡冷麺の黎明期を支えた稀代の職人。歴史的バックボーンを持つ、筋金入りの名店といえましょう。

店名同様のメニュー「平壌冷麺」とはいわゆる盛岡冷麺のことです。現地発音の「ピョンヤン」ではなく、日本語読みで「へいじょう」と読みます。看板メニューであり、通年で提供されています。
以前は辛さの段階が選べたようですが、私が訪れた際は指定不可となっていました。

丼を眺めると、丁寧に折り畳まれた麺の上に、キュウリ、リンゴ、ゆで卵。その上から、白胡麻がまるで天の川のように美しく散らされています。端にはカクテキと大ぶりの牛肉が鎮座し、どこかエキゾチックで食欲をそそるコリアンな雰囲気を醸し出します。
カクテキ付近はすでにキムチの汁が溶け出し赤く染まっているため、まずは逆サイドのまだ純な部分からスープをいただきます。牛骨出汁のさっぱりとしつつも滋味深い味わい。

注文を受けてから粉を調合し製麺するというお手製の麺は、フレッシュそのもの。白く透き通る透明感、噛めば押し返してくる圧倒的な弾力。これぞ、元祖・盛岡冷麺です。
麺をしっかりとスープに絡め、カクテキの赤い部分も一緒くたに混ぜてしまうと、今度はキムチの辛味と酸味が加わり、舌を刺激する味わいに。とはいえ、辛さが苦手な人でも問題のない水準です。混然一体となった刹那、スープ、麺、カクテキが三位一体のハーモニーを奏でます。
終盤は卓上の酢を投入することで清涼感が増し、最後の一滴までさっぱりと平らげることができます。レンゲなど不要。丼の淵から直飲みするのが食道園流です。
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