名店④ ラーメン好きは必食、深夜営業のみの「いそのかづお」

締めを飾る1軒は、「いそのかづお」。オープンは、2011年11月。
同店は、ラーメン好きを自認する者であれば、絶対に訪問しておかねばならない必食店。店舗の場所は、「すすきの」に佇む雑居ビルの一角。営業時間は22時から30時(翌朝6時)までと、極めて変則的。ラーメン好きにとっては必然的に、昼間から夜にかけてひとしきり杯数を重ねたあとでの訪問となる。
豆知識になるが、札幌のラーメン店は麺を(他のエリアと比較して相対的に)固茹でで提供するところが多く、杯数を重ねると実際の麺量以上に体感的に「腹に来る」ことが多い。
その試練を乗り越えた者だけが訪問を許されるのが、「いそのかづお」なのだ。

また、同店は先述したとおり、雑居ビルの奥まった場所に店舗を構えており、行列が延びれば、必然的に、店舗裏の狭隘な階段で列が進むのを黙々と待つことになる。深夜の「すすきの」の雑居ビルの階段で直立姿勢を取りながら待機し続ける体験は、もはや、単なる行列待ちの範疇を超え、“アミューズメント”の域に達する。実際に店を訪れた者でなければ、この体験を語ることはできない。この点も、「いそのかづお」が必須訪問店だと謳われる所以のひとつだ。
さて、同店が提供する麺は、メニューリスト上は「塩」「白味噌」「辛味噌」を含め4種類存在するが、店自身が、「当店は、『札幌ブラック』以外は全く人気がありません」と断言していることもあり、提供されるのは実質的には「札幌ブラック」のみ。ほぼすべての客が「札幌ブラック」しか注文しない。
そんな独特な営業スタイルを採る同店だが、店舗側が自信を持ってお薦めするだけのことはあって「札幌ブラック」の完成度の高さは、並外れている。

たまり醤油のコク・うま味とニンニクの香味が挽肉・玉ねぎの豊潤な甘みと劇的な邂逅を果たすスープは、ひと度口を付ければ最後、完食完飲は必至。麺も硬さはもちろん、縮れ具合に至るまで非の打ち所なし。
まさに中毒性の塊のような1杯であることに加え、これまで2万2000杯を超えるラーメンを食べてきた私でさえ、「こんな味わいの醤油ラーメンを食べたのは初めて」だと断言できるほど、オリジナリティにも秀でる。
胃袋のすき間を埋めるのではなく、規格外の美味さに胃袋自身がすき間を創り出してしまう1杯。このコラムを書いている今でも、あの1杯を再び啜りたいとい衝動が胸中で燻り続けている。
いそのかづお住所:札幌市中央区南5条西5-21営業:22:00〜翌6:00定休:日曜日(月曜祝日の場合は月曜定休)Instagram:@kazuoisono ※メニューの価格は訪問時のものになります。