名店② 本格的な淡麗系を提供する「支那そば 鋳」
2軒目にご紹介するのは、「支那そば 鋳(ちう)」。オープンは2021年12月。
店主は、札幌の地に非味噌系ラーメンの一大旋風を巻き起こし、現在もなお絶大な支持を受け続ける煮干し系の名店「RAMEN RS改」の創業者・川南氏その人。
札幌のラーメンシーンにおいて、地鶏を主軸に据えた本格的な淡麗系を看板とする店舗は、関東圏などと比べると決して多くはない。そのような状況下において、この「鋳」が誕生した意義は、とてつもなく大きい。
店舗の場所は、円山駅(市営地下鉄東西線)から、徒歩で約5分程度。店舗は、内外観ともに、和情趣が小気味良く配され、まるで小料理店のよう。暖簾を潜った瞬間、“ハレ”の空気が身体中を包み込み、これから味わえる特別な体験の予感に、テンションが際限なく高揚する。優れたラーメン店とは、往々にして丼が供される前から期待値を高める空気を纏うものだ。

同店は、創業以来、限定メニューを除けば「比内地鶏」、「天草大王」、「山水地鶏」等の地鶏から出汁を採った鶏清湯ラーメン1本で勝負しており、券売機筆頭メニュー(基本メニュー)は、「地鶏らぁ麺醤油」。「地鶏らぁ麺塩」や「地鶏らぁ麺みそたまり」も用意するが、ここでもまずは基本メニューを戴くのがお薦めだ。
提供までの時間は、3分程度。恭しく供された丼から、地鶏の落ち着いた香気が舞い上がり、鼻腔を優しく刺激する。美しく畳まれた自家製麺は、スープ越しでさえ瑞々しさが看取できるほど佇まいが端正。

レンゲを差し込みスープを舌上で転がせば、地鶏の深い滋味と艶やかな余韻に、期せずして鳥肌が立つ。たまり醤油、生醤油、本醸造など、全国各地から取り寄せた醤油をブレンドしたカエシも、地鶏の風味に色つやと奥ゆきを与える役割を全う。麺もスープの滋味を軽快に纏い、すすり上げた刹那、華やかな麦香を宙へと拡散させる。
夢中で箸とレンゲを動かすうちに、いつの間にか、丼は空になっていた。
まさに、札幌における淡麗系の現在地を示す1杯。その完成度の高さは、このジャンルが一過性の潮流でなく、札幌ラーメン文化を構成する確かな一角となったことを雄弁に物語っていた。
支那そば 鋳住所:北海道札幌市中央区北1条西27-2-13 営業:11:00〜15:00(L.O.14:30)
定休:なしInstagram:@sinasoba_chiu 5/6