渡辺真史●1971年、東京都生まれ。ベドウィン & ザ ハートブレイカーズのディレクター。ローカルとインターナショナル、2つの視点で東京をクルージング。
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すべての写真を見る風格と広がりのある店内。2階建ての広々とした店内では名物の「箸で切れるやわらかなとんかつ」をはじめ多彩なメニューが楽しめ、軒先の販売所にはサンドイッチのほかオリジナルの惣菜も並ぶ。
「とんかつ まい泉 青山本店」の1階テーブル席で、本社営業本部副本部長の相田基さんが出迎えてくれた。
「とんかつ まい泉 青山本店」
相田 私が揚げ場にいた頃もご存じのようで、相当な常連様ですね。
渡辺 はい。お姿を見た記憶があります。相田さんはいつからここで?
相田 ここの開店と同時に、有楽町の1号店から異動しました。かつを揚げ始めて、40年以上が経ちます。
渡辺 僕は10代の頃から通っていますが、いつ来ても「美味しい」「きれい」と感動します。一方で、「変わった」と思うこともあります。
相田 例えばどんなことでしょう?
渡辺 まずは個人的な話で恐縮ですが、来店のシチュエーションが変わりました。若い頃は先輩に連れてきてもらう“ご褒美”の場所。30代では逆に後輩にご馳走するケースが増えて、今は家族や海外の友人を連れてくることが多くなりました。
相田 なるほど。
渡辺 でも、みんなのポジティブな反応は変わらない。料理はもちろん、上品でゆったりした空間、手と目が行き届く清潔な雰囲気。すべて、日本人として誇らしさすら感じます。
相田 ありがとうございます。
渡辺 それと、意外と細かくアップデートされていますよね。昔は先付けで大根おろしが出されたりして。
相田 さすが、よくご存じで(笑)。
渡辺 あれ、大好きでした。「カニと胡瓜のサラダ」は今も現役ですが、かつ以外にも醍醐味がたくさん。蕎麦やお寿司のセット、生姜焼きも最高。通し営業で16時までランチが食べられるのもありがたいです。
相田 柔軟な姿勢には、創業者である小出千代子オーナーの想いが反映されています。お客様のために挑戦する。特に、近隣の美容師さんを応援していました。長めのランチタイムも、栄養バランスがとれた定食も、もとは忙しい美容師さんへ向けての気遣いだったようです。
渡辺 健康への配慮、地元の人を尊ぶ視点。粋で、素晴らしいと思います。
相田 妥協のない人でしたね。味を自分の舌で毎日確かめて、安心・安全のためにソースを工場で仕込むようになってからも敷地内に自分の部屋を作るほど。その情熱を、私たちが受け継がなくてはなりません。
渡辺 誰もが知る「ヒレかつサンド」など、今やグローバルなネームバリューがある。でも、根っこにはローカルな温かみがある。変化と不変の取捨選択、老舗でいながら決して入りづらさはない安心感。すべてのバランスが、この場所を特別な存在にしている。お話を聞いて、もっと好きになりました。
——取材を終え、視線を上げる。改装前の「神宮湯」の面影を残す趣深い天井が、より高く感じられた。 「とんかつ まい泉 青山本店」
住所:東京都渋谷区神宮前4-8-5
電話番号:050-3188-5802
営業:11:00〜21:00L.O.(無休)
※土・日・祝日の予約はご宴会コースのみ
OCEANS8月「街角パパラッチ」号から抜粋。さらに読むなら本誌をチェック!