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2026.07.14

ライフ

初心者も楽しめる現代アートのセレクトショップ「Goyo Gallery」ってナンダ?


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アートと聞いて、敷居が高いと思うなかれ。ライフスタイルを彩るものの一つと捉えれば、ファッションのように楽しめるものなのだから。

そんな感覚で、肩肘張らずに現代アートと付き合うすべを提案してくれるのが「Goyo Gallery」だ。キーマン2人に、日本発アートの現在地や楽しみ方を伺った。

【写真13点】「goyoギャラリー発ファッションマインド」の詳細を写真でチェック
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ギャラリーとは、人とアートをつなぐ道先案内人

コロナ禍をきっかけに始まったとされる“現代アートバブル”は、数年前に終焉。今は作家の背景や文脈をより理解し、本当に価値あるものを吟味してアートを買う時代だと言われる。

そう聞くと、アートはより縁遠いものと感じる人もいるかもしれないが、市場価値に振り回されずに、自分の感性にフィットしたアートを純粋に楽しむには好機でもある。

いずれにせよ、面白いアートを探求するなら、ギャラリーに足を運ぶのが賢明だ。

今回紹介するのは、気鋭の作家を確かな審美眼でチョイスして世に出す、いわゆるプライマリーギャラリーとして知られる「Goyo Gallery」。

近年は、ファッション業界からも注目を浴びる同ギャラリー代表の木村賢次郎氏と、プロデューサーの中野光章氏を訪ねた。

木村賢次郎(きむら・けんじろう)●富裕層向け資産コンサルティング業の傍ら、自らの知見を活かして2018年に“Goyoギャラリー”をスタート。2025年、寺田倉庫へ移転、リニューアルを果たす。国内外の作家と直接コンタクトを取り、個展、インスタレーションなどを手掛けるとともに、海外進出のバックアップも精力的に行っている。

木村賢次郎(きむら・けんじろう)●富裕層向け資産コンサルティング業の傍ら、自らの知見を活かして2018年にプライマリーギャラリーとしてのビジネスをスタート。「Goyo Gallery」は2025年TERRADA ART COMPLEX Ⅱへ移転、リニューアルを果たす。国内外の作家と直接コンタクトを取り、個展、インスタレーションなどを手掛けるとともに、海外進出のバックアップも精力的に行っている。今年4月には同フロアに2号店をオープンさせた。


――「Goyo Gallery」は、一言で言ってどのようなギャラリーなのでしょうか?

木村 確固としたパーソナリティ、信念がある作家さんと直接コミュニケーションを取って契約を結び、世に広めていくプライマリーギャラリーです。若手作家を世界へ発信する手助けをすることにも力を入れています。

――作家や作品をセレクションする際の基準のようなものはあるのでしょうか?

木村 純粋に、自分がお金を払ってでもコレクションしたいと思えるか否かです。話題だから、売れるから、そういった物差しではなく、作家のバックグラウンドやストーリーを読み取った時に、向き合いたいと思えるかを重視しています。

木村・中野の気になるアート#1

Goyoギャラリー専属作家であるNKSIN(シン)氏の「VACANT FACE」。デジタルとアナログをを融合させた技法は国内外で注目され、アイロニカルなメッセージ性も人気を博す。

Goyo Gallery所属作家であるNKSIN(シン)氏の「VACANT FACE」。デジタルとアナログを融合させた技法は国内外で注目され、アイロニカルなメッセージ性も人気を博す。


――そもそもファッション業界で活躍をされていた中野さんが参画されたのは、どういう経緯なのでしょうか?

中野 まず前職の時から、木村さんとは大好きなターコイズを介してSNSで繋がっていました(笑)。その後アート関連の企画で仕事でも絡む事が増えて、人となりを知った上であらゆることで影響を受けましたし、自分の独立を機に、ぜひ一緒に仕事がしたいと思ったのです。

木村 1年半前に移転をして心機一転やっていこうと考えた際に、それまでもお互いによくコミュニケーションを取っており、“この人の感性やセレクションは信じられるぞ”と思ったのは大きいです。一緒に何かをやったら相乗効果が得られる確信がありました」。

木村・中野の気になるアート#2

左:300年ほど前の古美術。割れた陶磁器を金や漆などで修復した伝統技法“金継ぎ”が見られる。中:トム・サックスの茶道をテーマにした“ティー・セレモニー”。右:江戸初期の発掘伝製品である唐津焼の器。

古今東西、日本の総合芸術“茶の湯”の華ともいえる茶碗たち。中央は現代美術家トム・サックスによる一椀。時代や国、価値観を超えて多様な美意識が一椀の中で交差する。


――そもそもアートとファッションは、親和性も高いですしね。

木村 そうですね。ただ、中野さんの仲良しな著名ミュージシャンがギャラリーを訪れた際に、ギャラリーに行くのはアートに興味があり収集している自分ですら敷居が高いとおっしゃっていたのが印象的です。自分が思っているよりも、他業界からは、ちょっと距離があるんだなと感じました。中野さんが道先案内人になってくれるのは、心強いですね。

中野 自分は、Goyo Galleryの作家ファーストなスタンスに感銘を受けました。しっかりと準備期間を設けて、作家の気持ちと技術が凝縮したものを世に出すというスタイルなので。

中野光章(なかの・みつあき)●約30年在籍したバーニーズ

中野光章(なかの・みつあき)●約30年在籍したバーニーズ ニューヨークから独立し、ファッションPRやイベントプロモーションを手掛ける会社、ストーミーマウンテンを設立するとともに、昨年「Goyo Gallery」のプロデューサーに就任。その豊富な知識とこれまで培ったネットワークを活かし、アートとファッションの架け橋として奮闘中。


――そういったスタンスというのは、何か理由があるのでしょうか?

木村 単純に、作家には自分の世界観やチャレンジしたいことを剥き出して表現して欲しいからです。本来は、個展を開くのは命を削るような行為ですから、一年に一回でもスパンとしては短すぎる。そういう思いがあります。

中野 人気のある作家は、常にスケジュールが埋まっていますが、ホームランを打つような作品を作ってもらうなら、それなりに時間をかけないといけない。ルーティーンをこなすというスタンスだと、結果、良い作品が生まれないのです。

木村・中野の気になるアート#3

木工芸作家、佃眞吾氏の代表作である「櫃(ひつ)」。栗の木の塊から彫り出した造形が美しい。

木工芸作家、佃眞吾氏の代表作である「櫃(ひつ)」。神代欅の塊から彫り出した造形が美しい。


木村・中野の気になるアート#4

ギャラリーの応接室に飾られているのは、橋爪悠也氏に依頼した作品。木村さんと中野さん、それぞれの愛犬と愛猫、そして扇子やターコイズジュエリーなど、二人にとってのマストアイテムも描かれている。

ギャラリーの応接室に飾られている、橋爪悠也氏に依頼した作品。木村さんと中野さん、それぞれの愛犬と愛猫、そして扇子やターコイズジュエリーなど、二人にとってのマストアイテムも描かれている。


――確かに、アートを生み出すのは相当なエネルギーが必要ですよね。

木村 もちろん作家は、作品を売って生活をしているので、ある程度マーケットを見据えた考えも必要だと思います。ただ、世に広めていくという行為は我々ギャラリーがやればいいので。

中野 プロジェクトを一緒にやる時もやらない時も作家のことを気にかける。あくまでギャラリーは作家と共に歩むというスタンスを、今も木村から学んでいる最中です。それもまた楽しいですね。



――日本の作家を世界に積極的に発信する理由は何なのでしょうか?

木村 最初に若手作家NKSIN(シン)の個展をやった時に、海外からの問い合わせが4000件を超えました。それがきっかけで海外のギャラリーともいいご縁をいただき、日本の若手作家を海外発信するのが大きなヴィジョンの一つになりました。

――昨年は、韓国でもMCMのイベントをやられていましたよね?

中野 自分が参画してから、最初に形にした企画です。アーティストの谷敷謙さんとメディコムトイ、そしてMCMが絡んだプロジェクトですが、おかげさまで大盛況でした。

木村・中野の気になるアート#5

アーティスト谷敷謙氏とMCM、BE@RBRICKのコラボ企画。木村さんと中野さんが初めて共同で手掛けたプロジェクトで、昨年ソウルのMCM旗艦店で行われたエキシビションにて発表された。

アーティスト谷敷謙氏とMCM、BE@RBRICKのコラボ企画。木村さんと中野さんが初めて共同で手掛けたプロジェクトで、昨年ソウルのMCM旗艦店で行われたエキシビションにて発表された。




ーーそんなお二人に、これからアートと付き合いたいという人にアドバイスはありますか?

木村 まずは美術館やギャラリーに行って、アートと接して純粋に好き嫌いを感じてみることをオススメします。興味を持つことに理由はなくていいですし、ましてや専門的な知識も必要ありません。

――ギャラリーに行く利点はありますか?

中野 アートに接して所有欲が出てきたら、ギャラリーなら購入もできます。知識があったとしても、ミスリードして変なものを買ってしまう可能性もありますから、信用できるギャラリー、信頼できる人から買うのが鉄則です。



――ましてや「Goyo Gallery」のような場所なら、アーティストのバックグラウンドまで教えていただけますしね。

中野 そうですね。ファッションアイテムを購入するときも行きつけのショップがあった方がいいですが、アートを手に入れるときは、より人と人との繋がりが大事だと思います。

木村 まさにファッションと接するように、軽い気持ちでギャラリーに来てアートに接してもらえたら本望ですね。

木村・中野の気になるアート#6

今年3月に個展を開催した“Goyo Gallery”所属作家タイラクルカ氏の作品。犬をモチーフにした表現に特徴がある。国内外で注目を浴びる女流の若手作家だ。

今年3月に個展を開催した「Goyo Gallery」所属作家タイラクルカ氏の作品。犬をモチーフにした表現に特徴がある。国内外で注目を浴びる若手作家だ。


――気になるスニーカーや洋服を見に行く感覚で問題ない、と。

木村 そうです。アートに対するハードルを下げるのが自分たちの役割だと思っていますし、極端に言えば、セレクトショップのような存在として捉えていただいても構いません。

中野 アートはなくても生きていけますが、あれば生活が豊かになる。ファッションアイテムと同等の選択肢として、楽しんでいただきたい。その手助けをしていければと思っています。

お二人の右側にそびえ立つのは、當麻寺の三重塔の屋根を支えていた隅木(すみだるき)。国宝であり、日本で二番目に古いとされる三重塔の木材は、なんと1000年以上前の古木だ。原始的なアートであり、ギャラリーの象徴として常設されている。

2人の右側にそびえ立つのは、當麻寺の三重塔の屋根を支えていた隅垂木(すみだるき)。国宝であり、日本で二番目に古い木造建築とされる三重塔の木材は、なんと1000年以上前の古木だ。原始的なアートであり、ギャラリーの象徴として常設されている。


どんなものでもインターネットで買う時代ではあるけれど、アートはまず見て触れて感じるのが重要。そして購入して付き合いたいなら、ギャラリーに足を運ぶのが近道だ。

もちろん一度ハマったらアートの沼は深いけれど、その入り口として、まず「Goyo Gallery」に駆け込むのは最適解の一つと言えそうだ。

Goyo Galleryでは夏〜秋も注目のイベントや個展が目白押しだ。8月12日(水)〜8月29日(土)は、日本の若手アーティストたちによる新たな世代の表現を紹介するグループショー「明歴々露堂々」が、9月5日(土)〜9月27日(日)は、アーティストNKSINによる国内では4年ぶりとなる待望の個展が開催。


Goyo Gallery
東京都品川区東品川1-32-8
TERRADA ART COMPLEX Ⅱ 3F
https://goyogallery.jp/

箱島崇史=写真 長谷川茂雄=編集・文

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