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トレンドの小径時計と、これまで“NEO CLASSICS”を紐解いてきたが、ヘリテージを彩る手法はもうひとつある。ずばり、ダイヤルの多様化だ。
より賑やかに、より華やかに腕元を彩るダイヤル装飾。その本質は、ワクワクする“遊び心”だった。
| 時計ジャーナリスト 篠田哲生さん 時計学校に通ったこともある実力派のジャーナリスト。柔らかい物腰とビギナーにもわかりやすい解説から、時計関連のイベントに引っ張りだこだ。 |
| プレコグ・スタヂオ代表/編集者 安藤夏樹さん 「時計に貴賎なし」と名品から風変わりな時計まで数多く収集。昨今の木彫り熊ブームの火付け役でもあり、伊勢丹 新宿店でのキュレーションも盛況だった。 |
| にしのや代表/ニート デザイナー 西野大士さん PR会社を主宰し、ニートなど自身のブランドも手掛ける。時計好きな一面を覗かせる今回着用の「アクアノート」ほか、名品的な機械式時計を複数所有。 |
「ワクワクできない時計はツマラナイ」
「ショパール/アルパイン イーグル 41 XPS」マウンテングローと名付けられたダイヤルカラーは、アルプス山頂に落陽する最後の輝きを表現。表面に施されたイーグルの虹彩模様と相まって神秘的に映る。内蔵するのは名機L.U.C系キャリバー。薄型ケースで装着感も抜群だ。ルーセントスティールケース、41㎜径、自動巻き。440万円/ショパール(ショパール ジャパン プレス 03-5524-8922)
安藤 どのブランドもカラーダイヤルのバリエーションを数多く出しています。
篠田 個人的にはショパール「アルパインイーグル」に惹かれました。形容しがたい絶妙なニュアンスカラーで。あと今年は、半貴石を用いたダイヤルも豊作でしたね。
西野 半貴石とは?
篠田 明確な定義はなく、一般的にはダイヤモンド、ルビー、サファイア、エメラルド以外の宝石全般を指す言葉です。マラカイトやターコイズ、ブラッドストーンなどがそれに当たります。
西野 ファッション的に親和性がありそうです。かつては、そうしたカラーダイヤルや半貴石を用いた時計はなかったんですか?
安藤 かつても時計ブランドがどうやって自分たちの価値を高めていくかを模索するなかで、カラーダイヤルやストーンの活用など、凝った意匠にその解を求める動きはありました。クオーツショックが起きた70年代ごろには、その流れが腕時計全般に広がります。差別化のポイントが見た目に移ったのも理由のひとつかもしれません。
篠田 薄くて小さいケースに、いかに高精度なムーブメントを搭載するか。そこでしのぎを削ってきた側面があったので、小径化と高精度を両立させるクオーツの登場により時計の価値が一変したんですよ。
安藤 衝撃に弱い半貴石はスポーツウォッチの隆盛で、時代とともにやや下火になりました。ただ、昨今はドレス系の人気が高く、それと相性のいい半貴石が今再び注目を集めています。
西野 いやぁ、勉強になります。
「キングセイコー/VANAC」1972年に個性的な形状やカラーで人気を博した「VANAC」が現代の時計として復活。最新チタンモデルのひとつに「薄明の静かなる地平」を模したパープルカラーのダイヤルが加わった。エッジの効いたケースによく映える。7月10日(金)発売予定。チタンケース、41㎜径、自動巻き。47万3000円/キングセイコー(セイコーウオッチ 0120-061-012)
安藤 カラーダイヤルだとキングセイコー「VANAC」は、70年代風をイメージした時計で、オリジナルモデルはヴィンテージ市場でも高く評価されています。それを換骨奪胎した現行モデルは、ほかにない個性的なビジュアルを採用し、それだけで選ぶ価値が十分にあります。
「タグ・ホイヤー/タグ・ホイヤー フォーミュラ1 ソーラーグラフ」ケース、ストラップ、オパーリン仕上げのダイヤルをパステルブルーで統一。モータースポーツに着想を得たマッシブなデザインを、ポップな印象へとアップデートした。心臓部にはソーラークオーツを採用し、実用性も申し分なし。THポリライトケース、38㎜径、クオーツ。28万6000円/タグ・ホイヤー(LVMHウォッチ・ジュエリー ジャパン タグ・ホイヤー 03-5635-7030)
西野 カラフル化でいうと、タグ・ホイヤー「フォーミュラ1・ソーラーグラフ」は、購入を検討していたほど。毎年夏休みはハワイを訪れていて、プールサイドにいるおじさんたちが、堂々とウブロを身に着けていたのが格好良くて。スポーティさは真似したいけど、僕はもう少し華奢なものが好み。タグ・ホイヤーの「フォーミュラ1」が適役かなと。ポップな色みも軽やかでいいですよね。
篠田 ファッションブランド、KITHとコラボするなど、タグ・ホイヤーの感度の高さには驚かされますね。今後もいろいろな手法で遊び心を表現してほしいです。
安藤さんは、グランドセイコーの会員サイト「GS9 Club」の限定モデルを着用。自身も開発に関わったモデルで「9の数字と鮮やかなグリーンダイヤル、36.5㎜径のグッドサイズがお気に入り」。
——やはり遊び心って大切なんですね。安藤 ユニークな時計はトーキングピースにもなりえますから。珍品も愛する僕は、「その時計、何?」とこれまでに何回聞かれたことか。
西野 自分のブランドでしんどいときに黒、グレー、ネイビーくらいしか作らないことがあった。でも、面白くはないんですよね。どうせならと派手な色を作ってみると、お客様の反応が良かった、ということもありました。
安藤 わかります。特に時計はスマホがあるので、今や必需品ではありません。だからこそ、ワクワクできないと価値がないと思うんです。
——ブランドが大切にするヘリテージを小ぶりに、カラフルに、はたまた違うアプローチで彩る“NEO CLASSICS”。買いです! 2/2