
スペリーが創業90周年を記念して25年、ジャパンメイド・コレクションを発表した。モデルの名は、「クラシック CVO JM」。スペリーの原点である「CVO」をその歴史ではじめて日本でつくり込んだ。
バルカナイズ製法のキャンバスシューズ――。その一翼を担ってきた日本へのオマージュをかたちにした格好だ。地下足袋に始まる歴史は150余年にわたる。本場アメリカと比べても引けをとらない。スペリーがクローズアップしてなんら不足はない。
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21世紀に入ってそうそう、スペリーはアメリカ製のコレクション、ゴールドカップを完成させた。原点回帰の一環である。ジャパンメイド・コレクションはゴールドカップと双璧をなすプレステージライン、という位置付けになる。
残念ながらその名は明かせないが、製造を担ったのは誰もが知る名門老舗だ。のみならず、原材料も日本で手配した。
「クラシック CVO JM ユニセックス スニーカー」2万3100円/スペリー(スペリー 0120-563-567)
キャンバスは富士金梅。古き良きシャトル織機により密に織られたそのキャンバスはとろけるようにしなやかだ。スエードは日本有数の鞣製産地、姫路の大活工業で鞣されている。大活工業は革本来の手触りを生かした技術に定評のあるタナリーだ。


底周りもブラッシュアップした。インソールはポリウレタンからラテックスへ、アウトソールはスペリーソールからルベア NR ソールへアップデートされた。ルベア NR ソールは天然ラバーがそなえる柔軟性はそのままに、従来比20%減のダイエットを成功させると同時に抜きん出た耐摩耗性と反発弾性を手に入れたソールである。
ラストはアジア人の幅広の足に合うように踏みつけ部を大きめにとりつつ、鼻先を0.5ミリ伸ばした。シャープなシルエットをそのアイコンとするスペリーのプロポーションは保たれた。
オール・ジャパンを誇るように、おなじみのスペリー トップサイダー ロゴには富士山が描き加えられた。

「クラシック CVO JM スエード ユニセックス スニーカー」2万7500円/スペリー(スペリー 0120-563-567)


現在はネイビー、ホワイトのキャンバス、ネイビー、オフホワイト、ココアのスエードがラインナップされる。秋にはソールまでブラックで染めたオールブラックとプレッピーなスペリーにふさわしいグリーンが登場する予定だ。
千隻の船を出航させた靴
日本ではトップサイダーの名で親しまれてきたデッキシューズだが、じつはブランド名でもなければモデル名でもない。船の上甲板を意味するトップサイドをベースとしたその造語はスペリーソールを搭載したラバーソールシューズの総称である。いわばニックネームとして広まったのだ。

スペリーソール生みの親は船乗りだったポール・A・スペリーである。ポールはある日、甲板から滑って海に落ちた。当時のボート用のフットウェアはエスパドリーユが主流だった。ジュートは濡れた甲板では滑りやすかったのだ。
立役者が愛犬のコッカースパニエル、プリンス。プリンスは氷上を走り回っても足をとられることはなかった。不思議に思ったポールが愛犬の肉球をみれば、顆粒状の凹凸を浮かべていた。その凹凸が滑り止めの役割を果たしていることを突き止めたポールはこれをヒントにウェーブ状のトレッドパターンを編み出し、スペリーソールと命名した。

そうして1935年に呱々の声をあげたのが 「CVO」 だった。「CVO」 はサーキュラー・ヴァンプ・オックスフォードの頭文字をとったもの。“サーキュラー”は一枚のキャンバスでぐるりとヴァンプを覆う構造を指す。

スペリーソールは1939年に特許出願され、翌40年には「CVO」が米海軍に制式採用された。
それもこれもギアとしての十二分なポテンシャルがあってこそ。そのデッキシューズは優れた防滑性に加え、甲板に跡が残りにくい、という特性も有していた。
スペリーは渡りに船とばかりに“The shoe that launched a thousand ships(千隻の船を出航させた靴)”というキャッチコピーを引っさげ、スニーカーマーケットという名の大海原に乗り出した。
その名のとおりオックスフォードシューズに範をとった端正な佇まいはプレッピー文化の象徴としても華開く。ジョン・F・ケネディも愛用者の一人だった。映画『ジョーズ』ではリチャード・ドレイファス演じる海洋学者のマット・フーパーが「CVO」に足を滑り込ませた。

スペリーといえばもうひとつのマスターピース、「AO」も素通りすることはできない(こちらはオーセンティック・オリジナルの頭文字)。1937年にリリースされた「AO」はハンドソーンのモカシン&ヒールキッカー 、360°レーシングシステム……モカシン由来のディテールとスペリーソールを掛け合わせたモデルだ。

創業の地、コネチカット州ニューヘイブンは貿易の拠点として栄えた港湾都市だった。スペリーの誕生は、必然だった。
[問い合わせ]スペリー0120-563-567
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