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「服を選ぶことは、人生の姿勢を選ぶこと」

ラウンドを終えた一行は、車で30分ほどの「THE HIRAMATSU 軽井沢 御代田」へ移動する。浅間山の麓に建つ、森のなかのオーベルジュだ。プリンスホテルの大浴場で汗を流してから合流する人もいた。

ヘリンボーンの床に白いクロス。乗馬を描いたアートとRLのロゴが、イタリアンの空間をそのまま別世界へと変えていた

ヘリンボーンの床に白いクロス。乗馬を描いたアートとRLのロゴが、イタリアンの空間をそのまま別世界へと変えていた。


白を基調としたソファに、馬と騎手のアート。ガラステーブルには洋書と白薔薇。会場の随所に世界観が編み込まれていた。

白を基調としたソファに、馬と騎手のアート。ガラステーブルには洋書と白薔薇。会場の随所に世界観が編み込まれていた。


皿の上に置かれた一枚のメニュー。信州の食材を使った前菜から肉料理まで、夜のコースの幕開けを告げていた。

皿の上に置かれた一枚のメニュー。信州の食材を使った前菜から肉料理まで、夜のコースの幕開けを告げていた。


会場の入口脇のカウンターには、先日発売されたラルフ ローレンのキャットウォークブックが一冊置かれていた。歴代のコレクションをたどれる厚い本だ。ページをめくると、ずいぶん前の年代を開いても、いま開いているページと地続きに見える。流行が移り変わる中で、いつの時代も同じ価値観を別の形で言い直してきた、ラルフローレンのスタイルを表した一冊。

入口脇に置かれた歴代コレクションの一冊。白薔薇を添えて、半世紀分のスタイルがいつでも開けるように待っていた。

入口脇に置かれた歴代コレクションの一冊。白薔薇を添えて、半世紀分のスタイルがいつでも開けるように待っていた。


驚くのは、30年、40年前のルックが、まるでいまのラルフローレンの提案と言われても信じてしまいそうな、そのエレガンス。古びる流行と、古びない様式。その違いが、紙の上に半世紀分積み重なっていた。

開会の挨拶においてラルフ ローレンは、創業者の言葉を引いた。「スタイルとは、あなたが誰でありたいかを語るもの。服を選ぶことは、人生の姿勢を選ぶこと。そして、挑戦し続ける人の生き方そのものが、いちばん美しいスタイルなのだ」と。

その言葉を受け取るように、トークセッションが始まった。タイトルは「人生を豊かに生きる美学」。登壇したのは、パーソルイノベーション代表取締役社長の大浦征也と、ABABA代表取締役社長の久保駿貴。久保は2024年のForbes JAPAN 30 UNDER 30を受賞した起業家である。



里山、ショパン、自然体。豊かさをめぐる問いに、二人の言葉は思いがけず近い方を向いていった。

里山、ショパン、自然体。豊かさをめぐる問いに、二人の言葉は思いがけず近い方を向いていった。


豊かさとは何か。その問いに、二人の答えはどこか似た方へ向かっていった。

久保はまさにその日の朝に乗ったタクシーの話をした。車内にショパンが流れていた。ピアノを長く弾いてきた彼がもっとも好む作曲家だった。驚いてなぜショパンなのかと運転手に尋ねると、「軽井沢の雰囲気を味わってほしくて、自分の携帯から流しているんです」という答えが返ってきたのだという。

「時間の長さではなくて、その人の気持ちや背景を感じられること自体が豊かなんだなと」。そう久保がしみじみと語る様子は、久保が受け取った豊かさがいかに心の奥深くに届いたのかを伺わせるものだった。

大浦は「里山」という言葉を選んだ。山と里のあいだにある緩衝地帯のことだ。「森のなかでひらめいてビジネスに役立った、というシャープな話はないんですが」と前置きしてから、こう続けた。

仕事とも遊びとも言いきれない、半分プライベートで半分仕事のような場所。東京では会わないだろう人と、そういうグレーな場所で思いがけず出会う。白か黒かをつけるより、あいだのグレーが難しく、面白い。今日のゴルフのような時間こそ、その里山なのだと。
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