元アップル社員がデザイン

このルーチェのデザインを手掛けたのが、クリエイティブ集団「LoveFrom」。アップルの元最高デザイン責任者であるサー・ジョニー・アイブと、工業デザイナーのマーク・ニューソンが率いるチームだ。

フェラーリは通常、自社のスタイリング・センターがデザインを担当するが、今回はあえて外部に委ねるという異例のモデルとなった。ジョニー・アイブといえば、初代iMacからiPhone、Apple Watchに至るまで、アップル製品の洗練されたデザインを長年牽引してきた人物。彼がフェラーリのために作ったとなれば、世間が注目するのは当然だ。

その結果生まれたのが、フェラーリ史上もっともシンプルで、もっとも大胆なフォルムかもしれない。全体を覆うようにまわる広大なガラスエリアが最大の特徴で、ベルトライン(ドアの上端あたりのライン)の下まで伸びるシェル状のガラスが、ボディ両端へと広がっている。前後には空力的なウィングが宙に浮くように配置され、無駄な装飾は一切ない。ライトが消えているときはほぼ見えないほど前後のライトパネルが透明で、ボディのピュアな印象を損なわない設計になっている。丸型のテールライトは、往年の名車「360 Modena」や「458 Italia」へのオマージュだ。

インテリアも同じ哲学で統一されている。精密な機械式のボタンやダイヤルが並ぶ一方で、デジタルディスプレイが要所に組み込まれたコックピットは、アナログの触感とデジタルの情報量を絶妙に共存させている。ステアリングホイールは100%リサイクルアルミから削り出した3本スポーク仕様で、スポーツカーらしい緊張感と美しさが同居する。

さらに、自動車として世界初採用という「Eインク」ディスプレイをキーに内蔵するなど、細部へのこだわりはとどまるところを知らない。
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