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農家のクラフツマンシップを感じる“Wagyu”


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今や「Wagyu」は世界共通言語だ。でも、海外で流通しているWagyuの多くは、実はオーストラリア産やアメリカ産の交雑種だったりすることも少なくない。日本で本物の和牛に出会った外国人は、その繊細な肉質に腰を抜かす。

和牛には厳格な定義がある。「黒毛和種」「褐色和種」「日本短角種」「無角和種」の4品種と、それらの間の交雑種のみ。この血統の純粋さと、日本の農家が手塩にかけて育てるクラフツマンシップが、あの口の中で溶けるような食感を生む。


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僕がいま住んでいる金沢にも、誇るべき和牛がある。それが「能登牛」だ。能登の美しい自然と潮風の中で育ったこの牛は、和牛の中でも特に「オレイン酸」の含有量が多いことで知られている。これが何を意味するかというと、脂の融点が低く、食べた瞬間にさらりと溶けて、しつこくない。

金沢を訪れる外国人観光客に能登牛を勧めると、皆一様に「こんな肉は食べたことがない!」と目を輝かせる。地元の銘柄牛を、その土地の空気の中で、自分たちの手で焼いて食べる。これ以上の贅沢があるだろうか。



海外のステーキハウスでは、サーロイン、リブアイ、フィレといった大まかな選択肢しかないことが多い。しかし、日本の焼肉店のメニューを開くと、そこにはまるで解剖学の図譜のような細かな部位の名前が並んでいる。

タン、ミスジ、イチボ、ザブトン、そしてホルモン類。「ここは牛のどの部分なんだ?」という好奇心が刺激される。それぞれの部位で食感も味の濃さもまったく違う。この「選ぶ楽しさ」と「発見」が、知的好奇心の強い外国人にはたまらない魅力として映る。

特に「生肉の状態」でテーブルに届くのがポイントだ。焼く前の肉の美しさを鑑賞し、焼き上がるまでの時間を仲間と語り合う。この「待つ時間」さえも、外国人にとって重要なスパイスになっている。
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