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すべての写真を見るラグジュアリーとは、“共感”だ。「その服いいね」「私も欲しい」。そんな共感や共有ができる服。誰かと分かち合える喜びは、代替できない贅沢だと思うのだ。
例えば、女性視点で生まれた、性別も年齢もジャンルも超える服。
ユニセックスウェアを再構築するそのアプローチが、日常に新しい期待と高揚感をもたらしてくれるはずだ。
「Y」
境界を軽やかにまたぐ、抜けのいい日常着
シャツ2万7500円、パンツ3万4100円/ともにワイ(イレーヴ 03-5785-6447)
Yの服には、“頑張りすぎない上質さ”が宿る。イレーヴを率いる田口令子が考えたのは、家でも外でも肩肘張らずに着られ、それでいて気分もアガる服。その発想にファッションディレクター金子恵治の視点が加わることで、ただのベーシックでは終わらない、抜けのいいユニセックスなコレクションが立ち上がった。
シャツ2万6400円/ワイ(イレーヴ 03-5785-6447)
例えば白シャツは、一見すると至極プレーン。しかし細番手のコットンを高密度に織り上げ、サイズや落ち感が緻密に設計されている。結果、男性が着ればすっきり、女性が着れば程良く余白が生まれるのだ。
性別を消すというより、境界を軽やかにまたぐ。その“ちょうど良さ”こそ、このブランドのいちばんの魅力だ。
| 田口令子 セレクトショップのデザイナーを経て、2018年春夏にイレーヴを始動。ジェンダーレスなウェアへの探求から、ファッション・ディレクター金子恵治とともに23年からYをスタート。 |
「TANAKA」
クラシックと未来を行き来する、デニムの新しい基準
シャツ4万2900円、デニムショーツ3万8500円、シャツ4万2900円/ともにタナカ store@tanakanytyo.com
TANAKAのオリジナリティは、デニムをただの定番で終わらせないところにある。タナカサヨリが向き合っているのは“次の100年にも残したい服”とは何か、という問い。
ニューヨークのボーダーレスな空気と日本の職人技を行き来しながら、ワーク、クラシック、日常着の境目を自然に溶かし、現代のニュークラシックを提案している。
デニムジャケット5万7200円/タナカ store@tanakanytyo.com
デニムジャケットはその好例で、旧式力織機で織られたセルビッジデニムを用い、タフなルーツを感じさせながら、どこかクリーンで今っぽい。
男性が着れば武骨さが際立ち、女性が着れば輪郭が和らぐ。その差異まで含めて成立するところに、TANAKAらしさがある。着る人の個性を削らず、むしろ引き出してくれるデニムなのだ。
| タナカサヨリ 新潟の自然と工藝に親しんで育ち、ヨウジヤマモトで企画を経験。ユニクロではグローバルデザインチームのリーダーとしてキャリアを築き、2017年、NYを拠点にTANAKAを設立した。 |
「MADISONBLUE」
女性の身体から組み替える、ユニセックスのかたち
ジャケット13万2000円、パンツ15万4000円/ともにマディソンブルー 03-6427-9228
中山まりこの服には、メンズウェアへの深い愛情が息づく。ただし、それをそのまま借りてくるのではなく、女性の身体を起点にきれいに組み替える。そこがマディソンブルーの面白さだ。
メンズ由来の空気感を残しながら、フィッティングやバランスはあくまで繊細。
ブルゾン13万2000円/マディソンブルー 03-6427-9228
例えばブルーのジャケットは、どこかハンサムなのに、羽織ると不思議とエレガントに見える。さらにメンズサイズは、単純にメンズの型を使うのではなく、レディスのバランスを軸に広げていくという。だからこそ性別を問わず自然に馴染み、着る人それぞれの“らしさ”もしっかり残る。
越境しているのに、無理がない。その静かな説得力と纏うたびに増す信頼感が、長く愛用したくなる理由だ。
| 中山まりこ 1980年代から日本とNYでスタイリストとして活動。2014年にマディソンブルーをシャツ6型から立ち上げ、以後はブランドのクリエイションを一貫して担い続けている。 |
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