“古き佳き”を今の時代にフィットさせるためのモダナイズ
毎日の通勤に、長野・松本との二拠点生活の移動手段として、クルマに乗らない日はほぼ皆無。そんな尾崎さんはこれまで何台もの車を乗り継いできた。
アルファ ロメオにも、漠然とした憧れを抱き続けている。その理由のひとつに、さまざまなプロダクトを通じて触れてきた「イタリアンカルチャー」がある。

「イタリアの文化というと、ある種の派手さにフォーカスされることも多い気がするんですが、本質は違うんですよね。カルチャーの上にデザインがあるから、継承すべきものを守りながらモノづくりが進化する。

このクルマも、随所に往年のアルファ ロメオを感じます。リアの筆記体ロゴは旧車のような雰囲気ですし、リアエンドをスパッと断ち切ったような“コーダトロンカ”と呼ばれる伝統的なフォルムは、直線と曲線のバランスが素晴らしい。
オーナーのスタイルが表現されるのは、こうしたディテールに込められたバックグラウンドやストーリーの部分だと思うんです。乗るほどに発見があって愛着が増し、知るほどに好奇心が湧く。これはファッションも同じです」


「8C」「ジュニアZ」「アルファスッド」など、往年の名車群の流れを汲むデザインが「ジュニア イブリダ」に採用されている。
では実際、尾崎さんのクリエイションと共通する部分があるのか訊いてみると……
「とてもシンパシーを感じます。僕が手掛けるサンカッケーというブランドでは、ヴィンテージの雰囲気やディテールを積極的に取り入れているのですが“まんまヴィンテージ”にはしていません。
今まで誰も見たことがない新しい服を作りたくて、その根底にヴィンテージの要素を忍び込ませている、という感覚でしょうか。

例えば、最近のファッショントレンドであるクラシック回帰。古き佳きヘリテージをリスペクトするのは素晴らしいですが、それだけに終始すると、新しい時代にフィットしない。

クルマもきっと根本は同じ。継承すべきデザインコードや元ネタを活かしつつ、現代的なアップデートを経て初めて、新たな価値が宿る。モダナイズの姿勢がないものに感性は刺激されません」
その点において、この日対面した「ジュニア イブリダ エディツィオーネ ビアンコ」は尾崎さんの感性を刺激するに足りる存在だったようだ。
3/5