ラムダン・トゥアミの「欲しいものは、だいたい買えるけど。」とは…… ▶︎
すべての写真を見る 言っておくけどな、みんな傘をナメすぎだ。実際、雨の日に目立つのは服や靴じゃない。傘なんだ。
頭上に持ち上げることでシルエットにボリュームを生み、空間に一本の線を引く。スタイルはいつも人が見過ごす細部に宿る。ヘムラインや生地、プロポーション。傘もそのカテゴリーだ。
ラムダンはジャズが好き。特に60〜70年代のジャズをこよなく愛しているが、そのジャズ愛が高じてデザインしたのがこのパターン。8組の架空のジャズコンサートのポスターをデザインし、そのポスターを張り合わせたもの。9900円/WORDS, SOUNDS, COLORS & SHAPES 03-6455-1847
逆に完璧だったはずの装いを、静かに壊してしまうのも傘だ。強いコート、しっかりした靴、シャープなライン。その上に、風に揺れる柔らかいドーム。
歴史的に見ても、傘は決して取るに足らないものじゃなかった。古代中国じゃ権威の象徴だったし、竹と油紙で作られる日本の和傘は、実用品というよりほぼ彫刻だ。19世紀ロンドンの紳士は傘なしでは外に出なかった。
それが工業化で変わってしまった。壊れたら捨てる。タクシーに忘れても惜しくない。“長く使う”という発想を、おれたちは失ったんだ。
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